どうしてこうなった
夢関係
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「たっだいまー」
俺が3日振りに帰った自分の家の玄関をくぐると、その瞬間家の中からドタドタと言う激しい足音が、玄関に近付いてきた。
「アッキー!」
「おう、幹夫じゃん。ただいまー。っとお!?」
「アッキー、アッキー……アッキー」
幹夫は俺を見るや否や、目に涙をためて俺に抱きつくと、俺を抱きしめたまま、ひたすら俺の名前を呼びまくっていた。
………なんだ?
「おーい、幹夫、どうしたー?何かあったのかー?」
「アッキーアッキー……もう……アッキー」
もうアッキーって……
どうしたどうした。
一体何があったんだ?
とりあえず、抱きしめられ幹夫の顔をが埋められている俺の肩が、熱い液体でしめっていくのを感じて、俺は幹夫の背中を叩いてやった。
また泣いて。
熱はもう下がったみたいだけど、こんなに泣いたらまた熱が出るかもしれないだろうが。
……そうだな、今日買ってきたお土産と、んでカフェラテ作ってやるしかないな、これは。
そんな事を考えていると、一足遅れて、後ろから明彦が玄関へ現れた。
お?こっちは何か少し怒っているような……
「アッキーの馬鹿。アッキーが帰ってくんの遅いから、ミキが全然ヤらせてくれなかったじゃん」
「えぇぇ、何で俺のせい?」
何だ、その言われのない罪は。
つか、またセックスかよ……ほんとにコイツの頭はそればっかだな。
「ミキ、アッキーが心配だから捜しく行くとか言いだすしさ。ミキの彼氏は俺なのに、アッキーアッキーって……」
明彦の言葉に俺は自分にしっかりと抱きつく幹夫に心底キュンとした。
ヤバい。
キュン死にってやつをしてしまいそうだ。
あー、だからこれはアレか。
ずっと帰ってこなかった俺を心配してこんな状態になってんのか。
もう、何、この子は。
ほんとに……もう。
最後にあんな見苦しい姿晒したのに……優し過ぎだろ幹夫。
「幹夫、ごめんな?俺、ケータイ忘れてたから連絡入れられなかったけど、ゼミ合宿行ってただけだったんだ。ごめん、心配掛けて」
「アッキー、ごめん。ごめんなさい。出ていけなんて言って。アッキーずっと居てよ。出て行かないで」
「行かない行かない。ほら、幹夫、お前まだ病み上がりなんだから、しっかり温まらないと。カフェラテ作ってやるから」
俺がそう言うと幹夫は、グズグズと鼻を鳴らし、目を真っ赤にさせたまま俺の顔を見た。
んんん、本当に可愛いなぁ、幹夫は。
「アッキー、カフェラテはまたあとでね。俺ら今から部屋でヤるから……な?行こう、ミキ」
おさかんな事でー。
俺は幹夫の肩を抱こうと手を伸ばす明彦に、いつものようにそんな事を思っていると、まさかの次の瞬間いつもではありえない事が起こった。
パシン、
そう乾いた音が聞こえてきたと思ったら、幹夫は今まで泣いていたとは思えないすっきりした表情で、明彦の手を叩き落としていた。
何だ何だ、痴話げんかか?
「明彦、悪いけど、俺、もうお前には抱かるわけにはいかない」
「へ?っなんで!?」
なんで!?
明彦に続いて俺までが同じような疑問を胸に、きりっとした表情の幹夫を見た。
つか、可愛い顔がきりっとするとカッコ良くなるのか。新発見だ。
「俺と別れてくれ、明彦」
「え?は?なんで!?」
うん、なんでだ?!
俺はいきなり目の前で起こり始めた恋人達の別れ話に、ただただ目を見開く事しかできなかった。
「明彦……ごめん!」
幹夫はそう一言明彦に叫ぶと、今度は何故か俺の方を向き直り……まさかの
「んっ、ふぁ……ん」
「ん……」
キスされた。
幹夫に。
あれ?
なんか目の前に幹夫の顔がどアップであるんですが。
しかも、なんかキスしながら俺、壁に押し付けられてるんですが。
俺達は1ミリも違わず、同じ身長らしいので、体格差で責められているわけではない。
ただ、幹夫のキスは激しく気持ちいいのだ。
しかも、キスしながら幹夫は俺の足と足の間に、自分の足を絡めてまできた。
何だこれは。
え、まさか、このままヤっちゃう感じですか?!
俺は訳も分からず、ただ貪るような幹夫のキスに翻弄されていると、その瞬間明彦が俺と幹夫の体を無理やり引きはがした。
「邪魔するな、明彦。わかっただろ……俺は、アッキーが好きなんだ」
「そんなのダメに決まってんじゃん!ミキは俺のだ、俺とセックスすんだよ!」
「……えぇと、俺はどうすれば……」
「アッキー、俺と付き合って。俺、絶対アッキーの事幸せにするから」
「そんなのだぁぁめ!100歩譲っても3Pまでしかダメ!二人だけでエッチとか絶対許さない!じゃなきゃアッキーはこの家から出てって」
「………ちょっ、それは無理だし。つか、幹夫が俺を好き?は?」
「アッキー、俺もアッキーと同じ大学受験するんだ。だから俺が受かったら学校でもずっと一緒に居れるよ」
「アッキー、お願い。俺からミキを取らないでくれよ……つーか。もうアッキー出てって。それか3P!」
「……アッキー、アッキー。あぁ、もうアッキー」
「ミキ、ミキ……もう、ミキ」
「「愛してる」」
いつの間にこうなった。
俺は、俺に抱きついて愛をささやく美少年と、その美少年に抱きつき愛をささやくイケメン男を見ながら、ぼんやりとそう思った。
明彦
高校2年生
17歳
俺の幼馴染から同居人、そして恋人から、また同居人、そして今は
俺の同居人兼セフレ。
幹夫
高校3年生
18歳
俺の恋人の浮気相手、そして、俺の恋人の本命、そして幼馴染の恋人になり……そして今は
俺の恋人兼明彦のセフレ。
いつの間にこうなった?
好きだ好きだとのたまい、たまに三人でまぐわう俺達の関係を世間はなんと言うのだろうか。
とりあえず、俺はキスされ、キスしたあいつがまた別のあいつにキスされているような、こんな3人の関係………
これが次はどう動くのか………
誰かの気持ちのベクトルがまた誰かへ変化するのか、それとも、この3人の輪にまた新しい誰かが入って来るのか
考えると、少しだけ、
本当に少しだけ
楽しみだと、俺は思っている。
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