どうしてこうなった
恋しい関係※幹夫視点
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どうしよう、どうしよう……。
アッキーが全然家に帰ってこない。
俺は、寝室でぐっすり眠りにつく明彦の隣で、カタカタと震える体を止められなかった。
昨日、病院から戻ると、アッキーが明彦に抱かれていた。
俺はその光景を今でも鮮明に思い出せる。
明彦に背後から突かれて、肢体をくねらせるアッキーの体に俺は一瞬にして目を奪われた。
その時の俺には、何故か明彦の姿は全く映ってなく、ただ顔を赤らめ、涙をながし、俺を見上げるアッキーだけが俺の世界の全てだった。
そして、その光景に俺はもともと風邪で熱を帯びていた体が、さらに異常な熱を持ちだしたのがわかった。
いつも、テキパキと俺達の事ばかり考えて動く、あのアッキーのこんな姿、俺は見た事がなかった。
だから、その時一瞬自分の頭をかすめた想いに俺は、一気に自分の思考についていけなくて混乱した。
俺も、アッキーに挿れたい。
まさか、こんな事を思うなんて。
いつも明彦に攻め立てられるばかりだった俺の心に初めて生まれた、抑えの利かない欲求。
その欲求は、俺が今まで抱かれていた時に抱くモノとは明らかに、その種類も、そして欲の大きさも異なり、大きく俺を混乱させた。
だからだろうか。
俺は今までにない激しい欲求と、そしてそのアッキーが明彦のモノを受け入れているという腹から湧きおこってくる激しい嫉妬の炎に、いつの間にか大声で叫んでいた。
『出てけよ!お前なんか嫌いだ!アッキーなんか……出てけ!気持ち悪いんだよ!?』
おかし過ぎるだろ。
元は明彦の恋人というアッキーのポジションを俺が奪ったのに。
俺は明彦が好きな筈なのに。
俺はアッキーを邪魔者扱いしていた筈なのに。
俺は明彦に嫉妬してしまったんだ。
アッキーではなく、アッキーを抱いていた……明彦に。
出て行けと叫んだ後、俺は凄く後悔した。
だってどう考えたって、きっとあの状況はアッキーにとって不本意な形であぁなってしまったというのは、すぐわかったから。
わかってるんだ。
俺が熱を出してて、アッキーがそれを心配して明彦にエッチ禁止っていったから、明彦は凄く溜まってた筈なんだ。
だから、アッキーは被害者って事くらい、あの状況を見たらすぐわかった。
……けど、俺はあの時のアッキーを見たくなかったんだ。
明彦に攻め立てられ、涙を流すアッキーを、俺は見たくなかった。
だから、俺は何も悪くないであろうアッキーにあんなひどい事を言った。
明彦も明彦で、俺が帰って来たのを見ると、すぐに用済みみたいにアッキーに出て行けっていった。
そしたらもう……アッキーは出て行くしかない。
アッキーは明彦には凄く甘いから。
……いや、誰に対しても甘い。
優しいんだ。
アッキーはフラフラしながら服を拾いあげて出口へ向かう。
その時、俺の横を通り過ぎる瞬間アッキーは『ごめん』て小さな声で俺に謝った。
それを聞いて俺は瞬時に、自分の言った事のひどさに気付いた。
アッキーはいつも俺を助けてくれたのに、俺はアッキーを助けるどころか追い出してしまったのだ。
アッキーは悪くない、悪くないのに。
アッキーの出て行った部屋で、明彦はおもむろに俺に抱きつくと、そのままベットに倒れ込んだ。
このベットに、さっきまでアッキーが居たのか。
少しだけアッキーの匂いのするシーツに俺は顔を埋めると、そのまま明彦に抱かれた。
抱かれながら、アッキーのあの姿が目の前にちらつく。
しかも、かなり頭の痛い事に、明彦に正乗位で突かれながら、あぁこれがさっきまでアッキーの中に入っていたのか、とか考えてしまっていつもより興奮している自分が居た。
そこには既に明彦に対する欲求は一切含まれていなかった。
俺はただ、明彦の向こうにアッキーを見ながら己の欲を沈める事に専念したのだ。
だから気付かなかった。
この時既にアッキーが部屋からではなく、家の中か出て行ってしまっていた事に。
俺は本当にバカだ。
アッキーはその日、夜になっても帰ってこなかった。
そして、その次の日も。
俺はアッキーの居ない家で、明彦に抱かれた後ずっと後悔していた。
今もそう。
一人では怖いから、とりあえず明彦の隣に居る。
だって俺はアッキーとの繋がりはこの家でしかないのだ。
他の場所なんか知らない。
アッキーが帰らなくなって2日たった。
明彦に言って何度もアッキーに連絡を入れてもらった。
アッキー、出て行けなんて言ってごめん。
だから早く帰ってきてくれよ。
なぁ、頼むから。
けど、そんな俺の願いは、家の中で鳴り響く、アッキーの携帯の着信音で全て消されてしまった。
アッキーと連絡すらつかない。
ねぇ、アッキー。
俺さ、アッキーが好きみたいなんだ。
ねぇ、お願いだからさ………帰って来てよ。
俺は、スヤスヤと眠る、愛しさを感じる事の無くなった恋人の隣で、ただ一人泣く事しかできなかった。
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