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どうしてこうなった
カフェラテな関係


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あー、うるせぇ。


俺は夜行バスで騒ぎまくるゼミのメンバーを横目に腰の痛みと、眠気で死にそうになっていた。

あの怒涛の修羅場的なものを乗り越えた後、俺はズキズキ痛む腰をと2泊3日分の大きな荷物を抱え、学校に集合したバスに乗り込んだ。


そして今に至るのだが……みなさん若い故にバスの中でははしゃぎまくちゃって凄いうるさいのなんのって。

俺はぐったりと、体を窓側にもたせかけると、寝てやろうと目を閉じた。

……しかし、全く眠れない。

………喘ぎ声の中安らかな眠りに付ける俺なのに、やっぱり俺は他の騒音じゃ眠れないらしい。

あぁぁ、もう寝たい。


「あーきらっ!お前もう寝んのかよ!?」

「うっせー、俺はねみぃんだよ。マジお願いだから静かにしてー」


ゼミ友の一人が、俺の隣までやってきて騒がしく俺の肩を叩く。
うおー、お願いだから向こうで騒いできてくれ、頼むから。


「あらららら、もしかして来る直前、彼女と激しくお楽しみだったんですかぁ」

「……は?」
俺が怪訝そうな顔でそいつを見ると、そいつはニヤニヤと笑いながら俺の首筋を指差した。
まーさか。


「めっちゃついてんぞ、キスマーク」

「アイタタター」

あぁ、もう。
あの性欲の塊の残した痕跡がこんなところにも。


「どうりでなぁ、お前のケータイに電話しても全然でねぇから、おかしいと思ったんだよ。マジ遅刻して来るから心配で何回電話したと思ってんだよ……ったく、お盛んな事だねぇ」

「は?電話。んなもんお前知らないぞ」

「何言ってんだよ。3回くらいケータイにかけったっつーの。出発前に」


出発前……?
まさか


「おい、ちょっと俺のケータイ鳴らしてくんね?」

「あ、別にいーけど」


「……………」

「……………」

「………鳴らしてるんだけど」

「みたいだな………」

「お前バカだなー、ヤるのにばっか夢中になってるから遅刻したり、ケータイ忘れたりすんだよ。ばーか!」


このヤロー!
何で俺がエッチ大好き人間みたくなってんだよ!?

この感想、こないだ明彦が風邪引いた時俺が思ってた感想とまんま変わんないじゃないか……。


あーもう、ケータイ家に忘れてどうすんだよ。

うち、固定電話つないでないし……そうやってあいつらに連絡とりゃいいんだ。

あいつらメシどうすんだろ。

棚にカップラーメン入ってただろうか。

でも幹夫はまだ風邪ひいてるわけだから、そんなもんより消化しやすい栄養あるもの食べさせたほうがいいだろうしな………。

あぁ、でも明彦がそんなの作れるわけないし。


もう、俺バカだ。


俺がガッツリ落ち込んでいるのを見て、隣に座ったゼミ友が何を勘違いしたかは知らないが「2日くらい彼女と連絡とれないくらいどって事ねーって!」と俺の背中を叩きフォローしてくる。

畜生、彼女なんて居ねぇよ。


居るのはホモでワガママな幼馴染兼同居人とその恋人の美少年だけだ。



「ま、とりあえず今は旅行を楽しもうや!」

「そうだな……」


どうしようもない事は悩んでも仕方ない。

そう俺は結論付けると、隣ではしゃぐゼミ友を脇に静かに目を閉じた。
そんな俺に隣に座るゼミ友は何か叫んでいる。

きっと寝るなとか起きろとかそのへんの事だろう。

けど、もう無理。

限界だ。

今日はイロイロあって疲れたんだよ。


俺は意識を手放す瞬間に浮かんできた幹夫の怒った姿に、心の中でもう一度小さく謝った。

ごめん、幹夫。
お土産買って帰るから。
明彦と二人で食べられるような、美味しいやつ。

そんで、帰ったら幹夫にはカフェラテ作ってやる。

ごめんな、って謝りながら、いつもよりはちみつを多めに入れて。


そしたら、アイツ、意外と優しいヤツだから、きっと



きっと、許してくれるだろうな。



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あきゅろす。
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