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11時間差レター
不良と連携プレイ


「あいつの持ってる俺の手紙を……取り返してくれ!」


俺は必死に電話口でそう叫んだ。

相手が一体どこのどいつなのか、あの腐れ幼なじみと一体どんな関係なのか。

俺にはサッパリわからなかったが、相手の声があまりにも必死だったので、俺は思わず叫んでしまった。

そうでなけりゃ、こんなどこのどいつかもわかんねぇ奴に、こんな事頼むわけがねぇ。


『……て、手紙ですか?』

「そうだ!ぜってーアイツが持ってる筈なんだ」

『わ……わかりました!絶対に取り返します!だから…あの、取り返したら……』

「わかってるっつーの!アイツにはぜってー出だしさせねぇよ!?」


俺のその言葉に、電話口の相手は『ありがとうございます!』と勢いよく叫ぶ。


ありがとうございます


俺はそう言われた瞬間、何故か手紙のアイツの最後の文を思い出した。


いつも、掃除してくれてありがとうございます。


あぁ、くそ。

またあの言葉を読みたい。

いや、今度は直接聞かせてくれよ



俺は必死に走りながら、ぼんやりとそんな事を考えていた。
すると、そんな中、受話器の向こうから大きな叫び声が、俺の鼓膜を揺さぶった。


『先輩!手紙を返して下さい!』


おいおいおい!!!
んな、馬鹿正直に言ってアイツが言う事聞くわけねぇだろうが!!


『へぇー。洋君いつの間に薫と仲良くなったのー?2対1とか卑怯じゃなぁーい?』


ほらな!多分アイツの事だ。
多分今頃スッゲー嫌な顔でニヤニヤしてやがんだ、きっと。
面白くなってきたなぁとか思ってやがるに決まってる………あぁぁぁ畜生!あの腐れ野郎!

見つけたらぜってーぶっ殺す!!


『すみません先輩!でも手紙は返して下さい!この人困ってますし』


だぁかぁらぁぁ!
んな話が通用する奴じゃねぇだろうがっ!

俺は電話口から聞こえる必死な、しかしかなり非効率的なやり取りに、徐々に苛立ちが大きくなっていった。

クソッ!
やっぱこいつじゃ役に立たねぇ!

コイツが時間を稼いでいるうちに俺が塾に到着するしかねぇ!


そんな受話器口の俺の心を読んだのか……あの腐れ野郎は笑いながら衝撃的な事を言い始めた。


しかも大声で。


『えぇぇ、なになにぃ?手紙って何の事ー?どの手紙かサッパリわかんないからちょっと俺朗読していー?』


あんの野郎ぉぉぉ!!


『ちょっ!せんぱ「ぜってー取り返せ!死んでも取り返せ!」


………っわかりました」


思わず俺が叫ぶと、電話口の男は「絶対に取り返します!」と言うや否や何やらバタバタと言う音が響いてきた。


何やってんだ?


俺がそう思っている間にも受話器からは『先輩、手紙を返してください』と言う声が聞こえてくる。

一体向こうがどう言う状態なのか、全く掴めない。


しかし、次の瞬間、俺の背筋がゾワリと嫌な感覚が走った。

『洋君つかまえたー』

『「…っ!?」』


捕まえた



あぁ、クソ。

俺まで捕まったって事じゃねぇかよ、そりゃ。




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あきゅろす。
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