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短編集
他力本願な不幸
授業時間勘違い視姦プレイ美形×マジで他力本願平凡

一体どうしたって感じのBL
受け&攻め視点





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俺、山城一樹(やましろ いつき)の趣味は人間観察だ。

クラスの人間を、自分の席から観察し、あらゆる角度から彼ら行動を分析する。
そして、その行動から起因彼らの心理状態を探るのだ。

それが、俺、山城一樹の趣味だ。














はい、嘘です。

人間観察ではなく、授業がダルくてクラスの連中の様子をボーっと見ているだけです。

まぁ、授業なんか聞いてるよりはクラスの奴らの動きを見ている方がよっぽど面白い。

俺の観察にはテーマがある。

それは、このクラスで一番授業中ノートを細かくとっているのは誰か、だ。

まぁ、授業っつーのは大方のもんがつまんねぇもんで、俺は全く聞いていない。
他の奴らも大概はそういうもんで、コソコソ内職している奴や、爆睡しているやつ、隣のヤツと喋っている奴と、皆各々好きなようにこの授業時間を使っている。

そりゃあ、真面目にノートを取っているやつもいるさ。

けど、そのノートをとるっつーのにも2種類ある。

一つ目は基本的に教師の話は聞いておらず、板書が溜まったらノートに取る奴。

まぁ、ノート取ってるやつの大方はコッチだ。
後ろから見てれば、本気で人の話を聞いてるのかどうかってのはすぐわかる。

ついでに言うと、こういう奴のノートってのは板書を訳も分からず写している傾向が強い為……かなり見にくい。


で、もう一つのパターンは教師の話を聞いて、その言葉もしっかりとノートに取っている奴だ。
こう言う奴のノートはマジで完璧だ。
板書をまる写ししているだけではない為、まとめ方もうまい。

だが、こっちのタイプのヤツは中々居ない。
クラスの中で1割居ればいい方だ。


だから、俺の人間観察のテーマは、このクラスのその1割の中で最もノートが見やすくかつ奇麗なのか順位をつける事だ。


……我ながら暇な奴だとは思う。

しかし、これは俺の中間期末の点数を左右する重大なミッションなのだ。

この順位表の上位から俺はテスト前にノートを借りる奴リストを作成するのだから。

……俺、絶対授業中ノートとかとらない主義だから。
マジ、俺のモットー他力本願だから!


つーわけで現在、俺はこの3年5組になって最初の1学期中間が8日後に迫っている、という状況に立たされている。

さて、今回も※8日前ルールに従い、ノートをクラスの奴らから有難くレンタルするぜ!


※8日前ルールとは?
俺の定めた究極ノート借り日程。
1週間前だと皆、若干テストを意識して貸し渋るノートだが、8日前だと「まだ1週間以上あるし、いいか」と言う余裕な気持ちを人間の中に芽生えさせ、何故かあっさりノートを貸してくれると言う黄金日程。


この日の為に俺はクラス変えが行われてか今までずっと、先生の授業なんか一切聞かず、クラスの人間を観察してきた。

……いや、たまに寝たりもしたが、結構観察してきた。

俺、頑張ったんだぜ!


そんなわけで俺はいま、教師の話を聞いてノートを取っていると俺が確信した1割のうち、またその中でも一番の完璧なノートを作成する奴、ソイツを俺は現在観察中だ。


俺的最も美しいノートを取ってるやつ1位、それは

津村裕也
(つむら ゆうや)


コイツは……何て言うんだろうか。

うん、ムチャクチャカッコイイ。
んで、スゲー遊んでるって噂を聞く。

俺の高校は工業高校のせいか女子の人数はかなり少ないのだが、その少ない女子の視線は全てコイツに持って行かれて居る。

只でさえ倍率の高い女子達が、コイツのせいでこのクラスでの彼女ゲット率は殆ど0になってしまった畜生。

他校にもコイツのファン的存在は多いらしく、街ではよく津村が女を連れているのを見たと言う目撃情報は止まない。


そんなわけで男子からはスゲー目の敵にされている………わけではない。

何故か津村はその辺もしっかりしていて、同性からも好かれている。
単純に言えば、面白くて話が分かる、良い奴なのだ。

まぁ、こんな奴をカリスマ性を秘めた奴と言うのかもしれない。

だから、俺は最初観察を始めた時、コイツが真面目にコツコツノートを取ってんの見て死正直かなり驚いた。

津村はいつも華やかで、そんな地味なところに力を入れてるなんて想像もつかなかったから。

だから毎回毎回きちんと教師のクソつまらん授業に耳を傾け、ノートを取っている姿を見て俺はかなり津村を尊敬したね。

顔は美形で良い奴で努力家な津村。

片や俺は顔はまぁまぁな最強の他力本願。

アイタタター。

神様は彼に俺の分の長所も余分に渡してしまったのではにだろうかってくらい人間的に差があるな……俺ら。


と、俺は自分の行いを反省する事も無く授業が終わったら津村にノートを借りに行くんだ、はっは。


そんな事を思いながら、俺は軽く襲って来た眠気に残りの授業時間を使う事にして机に頭を突っ伏した。


英語と生物は津村に借りよう。
他は……まぁ適当に借りに行くか。


うん、そうしよう………


俺は気持ち良い睡魔に実を委ねながら意識を手放した。



だから俺は気付かなかった、まさか今まで俺が観察していた津村が、今度は逆に俺の事をジッと見ていた事に。

しかも……ずっと。








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ずっと、


ずっと、


俺はその視線を感じていた。

授業中、その視線はずっと俺の事を見ていた。


誰だろう。

そう思って俺はチラリと視線だけで視線を感じる方を見てみた。


あ、


一瞬だけおパチリと合った目。

相手は俺と目が合った瞬間、何事もなかったかのように目を他へと逸らした。


あぁ、残念だ。

何が残念なのか、自分でも全く分からなかったが、あの熱い視線が無くなってしまった事に俺は酷く落ち込んでしまった。

俺をずっと見ていた相手、それは3年で初めて同じクラスになった……確か山城一樹という奴だった。

何故、奴が俺を見ていたのかは知らないが、また見て欲しい。

俺は何故か背筋を伸ばすと、無駄に真剣な顔つきになっていまった。

また見て欲しい。

一体どんな感覚なのか、自分でも全く理解に苦しむが、俺はひたすらそんな事を思った。





あの最初に感じた視線から約1カ月たった現在。

3年最初の中間を8日前に控えた俺だったが、あの最初の視線以来俺はおかしかった。

あの日から、山城は授業中暇さえあれば俺を見ていた。

そして俺はと言うと、山城が俺を見る度、俺の心臓が高なるのが日常と化していた。
しかも、無駄に体中が熱くなる。

ヤバい。

何だ、これは。

女を抱いている時より感じるこの高揚感は一体何だ。

授業中に何一人で興奮しているんだ。

やめろ、やめろ。

授業に集中だ。

無心であの腐れ禿の授業に耳を傾けろ、俺!


と、まぁ、そんな感じで山城の視線を感じると俺はまさかの勃起しそうになるほどの興奮を覚えるようになってえいまっていた。

………ヤベェだろ、俺。
さすがに授業中におっ勃てるなんて変態過ぎるので、無心で教師の言葉に耳を傾けている。


あぁ、畜生。

昨日も一昨日もセフレとガッツリやりまくったばっかだっつーのに、何だこれは!?

欲求不満の中坊じゃあるまいし!

てか、何だ!?

何で山城も俺の事をあんなに見るんだ!?

……俺は……何故だかお前の事をそういう……なんて言うんだろうか……性的な対象で見てるんだが……お前も同じと考えていいのか!?


あぁ、クソ。

いつもの俺ならさらっと相手に近付いて確かめられるのに……。

山城に近付くなんて今の俺じゃ理性がどうもおいつかん。

変な事を口走りそうで怖い……


あぁ、クソ。
体が熱い。
心臓がうるさい。

俺は、そんな事を思いながら眠る山城を見つめていた。

解放されない熱。

溜まる欲求。


俺の熱はその後、授業後に俺に話しかけてきた山城によってあっけなく解放される事になる。










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その後、

ノートを借りに美形の席を訪れた他力本願が「ノーと貸す代わりに抱かせて」と頼まれるのは………また別の話である。



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しかも「抱かせて」と頼んできた美形に他力本願が「ど、どうしよかな」と悩みまくって周りを驚かせるのもまた………別の話である。






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あきゅろす。
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