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短編集
織田信長の後悔日記
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11月11日
織田信長の後悔日記
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俺が、裏でどんな風に思われてるのか。
そんなの、俺が一番よくわかってる。

尾張の大うつけ。

うん、子供の頃から……こう、なんていうの。
「俺、他の人とはちょっと違うんだよね、そこんとこよろしく」みたいな行動ばっかとってたらいつの間にかそう呼ばれてたよね。
いや、当時はさ、そう言う……こう、なんていうの。
ちょっと不思議系っつーか奇抜系っつーか、そう言うの目指してたとこあったからアレ、まぁね、「大うつけ」って呼ばれるのも気持ちが良かったわけよ。
けどさ、今思うとあの時の俺、相当サムかったよね、うん。
かーなーり中2入ってたよね、うん。
周りが俺の事ビックリしたり驚いたりするのが好きで、勢いで比叡山とか焼き討ちにしちゃったしね。
勢いって凄いよね今思うと自分で自分の行動に恐れおののき気味だしね。

「ちょっと比叡山焼き討ちにすっから」

って言うセリフを内心ドキドキしながらも、表面上は何でもないですよ風に言った瞬間の家臣たちの顔が忘れられないよね。
あの時の周りの「え?コイツ、マジ?え、バカなの?正気なの?」みたいな、あの顔。
あの顔見て、皆が俺を見て恐れおののいてると思い込んでた自分が今では一番恐ろしいと思うよね。
あれ、周りはリアルに引いてたからね。
しかも更に痛いのがその次だよ。

「やめた方がいいんじゃ……」みたいな事を進言してきた家臣に俺ったら



「くははは!今の俺のこの腕の疼きを抑えられるのは奴らの血肉のみっ!俺の腕が暴走する前に、この腕にあらん限りの血を吸わせてやらねばなるまい!俺が生きていると実感できるのは、戦の中のみなのだからなっ!」

やーばーい。
既にこのセリフ発した時から大概暴走気味だからね俺の脳内。
あの時はアレだよ。
こう、いろんな中二病を併発してたから手に負えなかったよね。

●戦になると俺の中に眠るもう一人の残忍な人格「不如帰」が現れ、女子供も容赦なく叩き切る、みたいな二重人格中二。
●血を見ると興奮して「くははは!」とか突然笑い出すちょっとイカレた系中二。
●やたらとサブカルな路線ばっか狙って、当時珍しかった鉄砲を死ぬほど戦で使いまくったサブカル系中二。
●世界は全て俺の手のうちにあると思いこんで行動する妄想系中二。

とか、まぁ様々な中二を一気に併発したからもう周はもちろん俺自身俺をも止められないよね。
特に最後の症状なんか顕著で、俺、脳内で100回は天下統一したからね、やばいよね。
勢い余って「天下布武!」とか言う印まで作っちゃったから、イタ過ぎる。
しかも、それをいたるところに押しまくった自分手遅れ過ぎる………。

あぁぁあ、痛い!痛すぎる!
若い頃だからって許されない奇行が多すぎるだろ!
恐るべし若さ……!
たまに妻に昔の俺の話ネタにされっけどあれ、本気で止めて欲しいからね。
もう、マジで。
もう、マジで……!


おわり
※現代ではわりとかっこよく伝わっている。

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あきゅろす。
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