[携帯モード] [URL送信]

短編集
道海島仁のガッカリ
ウッカリ浮気×人気ブロガー平凡

まごうことなきBL
受け視点

----------








俺、道海島 仁
(どうかいじま ひとし)は、今人生初の浮気現場に遭遇している。


「っあ、だめっ…!そんな、激しくしなっ、いでっ」

「悪いっ、でも止まんねっ」

「ひぁっ、やっ、あぁん」



あー、しかもアレです。
今丁度ヤられてる方……わかりやすく言うと突っ込まれてる方……


俺の大親友のミッチェル(当たり前だがあだ名だ)。


そんで一応補足しておくと、二人共男の子ね。

だって此処男子校だし。

あ、わかると思うケド俺も完全なる男の子。

だって、此処男子校だし。



……あっちゃーだよコレまじであっちゃー。

大親友(だと思ってたヤツ)に彼氏寝取られるって、まさかこんなドラマティックな出来事が、こんな平凡な俺に降りかかってくるなんて。

ちょっ、だいたいさぁアイツ(俺の彼氏)から俺の事呼び出しておいて何だよ、このドアの奥から聞こえてくるめくるめく野郎同士の喘ぎ声は……!!!

つーか、ミッチェルノーマルじゃなかったのかよ!?
俺はアイツに浮気された事より何より、そこに驚きを隠せねぇよ!?

ミッチェルもホモだったなんて……!!!

ちょっ……マジさぁ。そう言う事はまず大親友の俺に言っとけよ。

俺ら保育園の頃からの付き合いなのにさぁ……隠し事とか……ほら、俺だって言っちゃえばホモなんだし偏見とか一切ないわけだから話してくれても良かったのに………。

つーか浮気かぁ。

そういや、さっきも思ったけどコレってアイツからの呼び出しなんだから、多分アイツは俺が此処に居る事知ってんだよな……?

アイタタタタ。

わかっちゃった、わかっちゃったよ俺。


選択肢は3つ。


1、俺を呼んだ事を忘れている

2、3Pのお誘い

3、暗に別れようと言っている

答えは確実2……いや、すみません冗談です。3です。

3だよ!

いくら、アイツみたいに頭の良くない俺にだってこのくらいわかるさ!

答えは3!

別れようの合図だ!


1はナイ。
だって誘われたのつい30分くらい前だし。これでリアルに1だったら俺はアイツに病院へ行く事をお薦めするね。


んで、2もナイだろ。
だってアイツ美形だけど絶倫とかじゃねぇし。思ってたより体力ねぇから二人相手に突っ込むとか無理だな。

ふふん。

あ、俺も攻める側に回るんなら話は別だ。

あー、ミッチェル可愛いからなぁ。






……や、無理だわ。

無理無理。

今まではいつも突っ込まれるばっかだったから、実は俺童貞なんだよ。

大親友で童貞喪失とか笑えない。

そこまでドラマティックな事、俺望んでナイっす。

ミッチェル大親友だし。
絶対無理ですね。


よって答え3。
おいおい。
俺の推理ったら東の高校生探偵張りにバッチリじゃね?

たった一つの真実見抜く、見た目は高校生、頭脳は偏差値40ちょい、その名は道海島仁…!!



とか言ってる場合じゃねぇな……。


あぁぁ、もうこんなモノローグの最中にもBGMのように耳の中に流れこんでくる喘ぎ声が徐々に俺の心を蝕んでゆくー。

(そして客観的に見て気付いたが、やっぱ男同士(しかも大親友と彼氏)のセックスって……残念だ)


わかった。

わかったよ。

そんなに俺と別れたかったのか、お前は。

そして、ミッチェル……お前はホモだったのか。


俺は完全なるお邪魔虫なんだな……。

こんな形で大親友と彼氏を一気に失うなんてな………

あ、ちょっと今の表現いいな。

あとでツイッターで呟こう。

いや、やっぱツイッターじゃなくてブログの方に書こう。

こんなドラマティックな出来事、とても呟きじゃ収まらないからな。

ガッツリブログに書いてやる。

そして閲覧者のみんなに慰めてもらおう。

あ、実は俺、見た目も頭も残念な感じのヤツだけど、実は1日30万hitを叩き出す売れっ子ブロガーなのだ!

よって、このドラマティックな出来事もブログに書く。

ブログって良いもんだよ。

辛い出来事もネタにしちゃえば、あんまり辛くないしな。

今だって結構辛いのに、それと平行してブログの文章とか考えてると、なんか結構大丈夫だし。


まぁ、多分書き終わった後3時間くらいズーンとするだろうけど……3時間くらい耐えてやるよ。

や、まぁ大親友に彼氏寝取られて3時間で復活できりゃあ充分だろ。

っし。

この浮気に沈む気持ちが色鮮やかなうちに、 早いとこブログに書かなければ。


つーわけで、早く全てに決着をつけてくるか!


今、俺はお前らを解放してやるぜ(日記のタイトルにしよう)







「お楽しみ中ごめんなさーい」

俺は懇親の力を込めて、目の前にあるドアノブを回すとバックでヤってる二人の前に踊り出た。

だからミッチェルと俺は、部屋に入った瞬間ガッツリ目が合っちまった。

うわぁ……気まずい事この上ねぇぇ。


しかも、部屋の中には……なんて言うのかな、はっきりいっちゃうと二人分の精液とか諸々の臭いがして頭がクラクラする。

あ、ここら辺はもちろんブログではオブラートに包んで書くよ!

だって、ブログの閲覧者には腐女子じゃない普通の女性の方も居るわけだし。

こう言う生々しい所はパス付きの記事に載せるに限るよな(とりあえずブログには絶対載せる)。


「ぁっ……っあ、ひぃ?!」

ちょっと補足しておくが最後の「ひぃ」は決してミッチェルの喘ぎ声なんかではない。
ミッチェルの為に訂正しておくと、「ひぃ」ってのは俺の呼び名だ。


「……っあ、あの、これは…ちょっと、あの」

ミッチェルが真っ青になって慌てだした。

なんだよこの!
慌て方がちょっと可愛いくて癒されたぞ!

俺はオロオロするミッチェルが少し可哀相になってアイツ……俺の彼氏であるヨシチカ(そういや漢字知らねぇ……)を見た。

「仁……お前、何でここに」


おいおい待て。
ヨシチカ、何でお前がそんなに驚いているんだ……!

何でここに……じゃねぇよ!

お前が呼んだんだろうが!!


「いや、だって…お前が今日来いって……」

「っ!そうだった!」


そうだった!じゃねぇぇぇ。


まさかの答え1かよ!?

お前、俺を誘ったのつい30分前だぞオイ!?

マジでお前病院紹介してやろうか!?
リアルに心配だぞ。
お前の脳が。


「ひぃ、違うんだ!これは……ちょっ、善親っ!テメェいつまで突っ込んでやがんだ!さっさと抜け!」

「あ、あぁ。そうだな。悪い」


いやいやいや!
すみません抜かないで!

いや、ほんとマジでお邪魔してすみません!

だからワザワザ抜かなくていいから!

なんか俺ちょっと悪いヤツみたいじゃん!


「いいんだっ!もういいから!」

「ひぃ…、違うんだ。これは誤解で」

「……仁…、ごめん」


いやいや、そんなこちらこそすみませんでしたぁぁ!
だからそんなに謝らないで!
っつーかやっぱし抜いちゃったし!
ワザワザすみません!

すぐ俺立ち去りますから!

とりあえず、お前らを解放したら俺立ち去るから!

なんてったって今回のブログのタイトル

『今、お前らを解放してやるぜ』

だからな!


「もう…いいんだ。俺の事はもういいから。ミッチェルもヨシチカも……ごめんな、俺気付かなくて」

「ひぃ!違う!違うんだ!」

「違わねぇよ!」

「っ!」

俺がお前らの情事を中断させちまった事実はな!


「……ヨシチカ、お前も俺みたいな平凡に付き合わせて悪かったな。もう俺の事は気にしなくていいから…」

「………っ仁!」

ヨシチカ……お前はとりあえず病院に行け?

「……ヨシチカ、別れよう。お前らとは今日限りでサヨナラだ」

っしゃぁぁ!
このセリフで今回のブログ締めよう!

きーめた!きーめた!

ふっ、見事な締まりだぜ。


「ひぃ……ぢがっ…っひっく、違う……俺は…」


ちょっ、えぇぇ!?

なんかミッチェルが泣き出したし!?

何故、ホァイ?


ちょっ、マジでごめんなさい!
ミッチェル、俺すぐ出てくからすぐ続きやっていいよ!

半端なとこで止めちゃってるから辛いよね!

わかる!俺も男だし同じモノ突っ込まれてたからわかるよ!


「……じゃあな」


「仁!」

「ひぃ!」



素っ裸で俺の名前を叫ぶ二人は何だかちょっと滑稽だなぁ。

と、そんな事を思いながら俺は部屋を出た。

何やら部屋からドタドタ聞こえる。

やべぇ、もうラウンド2突入ですか。

ヨシチカお前意外と体力あったんだな……いや、つーか俺にだけだったのかも。

体力無いわけじゃなくて……俺じゃ1回が限界だったんだな。


あー、ちょっと泣けてきた。
早くブログ書いて3時間くらいズーンとして食堂に夜ご飯食べに行こ。




そうやって走って部屋に帰った俺は知らなかった。

部屋で実は俺の事が好きだったミッチェルと、つい出来心で浮気に手を染めたヨシチカが、壮絶な修羅場を迎えている事を。



--------

[次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!