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蛇行
10


楓は、自分に寄りかかっていつの間にか寝息をたて始めたよしきにホッと胸を撫で下ろした。

そのまま楓はよしきをベッドへと横にすると、軽く上からタオルケットをかけてやる。


「体は資本だよ、よしき君」


寝ている彼には聞こえてはいないだろうが、楓はよしきに心底それを自覚して欲しかった。

何をするにも、これから受験生に求められるのは、きちんとした体調管理だ。

それが出来なければ受験など上手くいく筈もない。

特に、よしきのように真面目で努力を惜しまない人間は自分を追い詰めるあまり、そう言った初歩的な部分で躓く傾向が多いのだ。

そんな悔やんでも悔やみきれぬような思いは、よしきにはして欲しくない。


よしきの場合、夏休みの時期から徹夜勉強の常習化を許してしまうと、受験直前はもっと自分を追い詰めてしまうだろう。

そうなると受験直前はまず精神がやられる。

すると徹夜で弱った体は、冬の寒さにひとたまりもなく不良を訴えるようになってしまうだろう。

そんな事、絶対受験前に許される事ではない。

今のうちから生活のリズムは一定に保ってやらねば。


「(まぁ、俺みたいなバカな失敗した奴に言われたくないだろうけどね……)」


楓はバスで寝こけて受験失敗という、最悪な失敗例に苦笑すると、眠るよしきの頭を一撫でした。


「さて、と。俺もやる事やらなきゃな」


楓は気持ちを一気に引き締めると、自分のバックから大量の参考書を取り出し、机に向かったのであった。

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あきゅろす。
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