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番外編
1時間目:英語
予想外である。
予想外に書けている。
楓は多少感動していた。

「な!書けてるだろ?!」

そう得意気に言ってくる彦星に楓は、凄い凄いと言って笑って頭を撫でてやる。

すると彦星は気持ちよさそうに目を細めた。

犬か!?お前は!
まぁ、出来たら誉める。
これは基本だな。
誉める事によって犬も人間も喜んでおぼえるしな。

半ば彦星を犬カテゴリに入れ始めた楓がもう一度紙に視線を戻すとある事に気付いた。


「彦星、これ…一応言っとくね?」

「え!!何何?!」

「えっとね。ほら、ここ。彦星のし。ローマ字ではshiとも書くんだよ。彦星のsiでも別にいいけど」

まぁ一応な。
ローマ字は出来てるし一応言っておいてもいいだろう。

楓はそう思いながらノートの空いてるスペースに堀田彦星のローマ字を書いた。


horita
hikoboshi


「なんで?!なんで‘し’にhが付くんだよ!他のサ行は全部sだけじゃんか!なんで………っ!俺がHだからか?!」

「そんなワケないだろ!?」

全く何を言い出すかと思えば……!

息子がエロくなる事を予想してローマ字にhを入れる親がどこに居る!!

つか、彦星の名前がきっかけでローマ字の‘し’がshiになったワケじゃねーっての!

「じゃー何でいきなりサ行にhが現れてんだよ!わけわかんねー!」

そう言って憤慨する彦星に楓は内心悩んだ。

いくら楓でも何故いきなり‘し’にだけhが付くかなど分かる訳がなかった。

「……そこは納得するしかないよ。言葉ってツッコンでたらキリがないからね。」

「でもさ!」

「彦星!」


彦星が更に反論しようとした時だった。
楓は彦星の両肩を掴むと彦星の目を見つめて言った。

「彦星、頼むから納得してくれ。俺達…大親友だろ?」

こうなったら楓はもう何が何でも彦星に納得してもらうため、彦星を操る為の魔法の言葉《大親友》を連呼する他なかった。


「う…、おう。俺と楓は大親友だ。」

「だろ?なら大親友の俺が言ってるんだから、何でローマ字の‘し’にhが付くか理由が無くても信じてくれるよな?」

「……おぅ。」

「よし。ありがとう彦星。」

「……っ。どーいたしまして!」


やっと納得させた……というか論点を意図的にズラして問題をうやむやにした楓は次のステップに移る事にした。

ここまで来ればあとはローマ字の例外であるだろうという部分を一つずつ潰して行けばいいので楽だろう。

困ったら魔法の言葉を使えばいい。


「さ、彦星。次は蔦屋学園をローマ字で書いてみてよ。」

「おー!」


彦星がつまずく所は分かっている。
多分あそこだ。

「できたぞ!」




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あきゅろす。
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