番外編
教師、堀田彦星
その日、蔦屋学園の職員室は、前代未聞の事態に騒然としていた。
「………まさか」
「…あの、三木楓が…」
彼らの見つめる先は職員机
の上にある答案用紙。
そして、そこには答案用紙を一番間近に、真剣な眼差しで見つめる一人の男の姿。
職員室に居るその男は、勿論教師だった。
しかし男はまだ若く、教師と言われなければ、決して誰も彼の事を教師だとは思わないであろう見目であった。
いや、むしろ生徒に間違われそうな勢いである。
そんな、どこか幼さとチャラさを残した男は、広げられた答案用紙を前に「うーん」と一唸りすると小さく口を開いた。
「三木楓……放課後居残り組かぁ」
呟かれた男の言葉に、周りに群がるように立っていた教師陣は一斉にため息をついた。
ただ一人、呟きを漏らした男だけは、ジッとその大きな目で答案用紙に書かれた名前を見つめていた。
「(三木……楓かぁ)」
担当教科英語。
今年24歳
男は名前を
堀田彦星といった。
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