傷つけたのも傷ついたのも 居心地がよかった 昔から、寂しがりなんだよ、あたし 小さい時は、誰かが傍にいないと寝付けなくて ま、親が居ないのが当たり前だったから、頑張って直したんだけど 抱きしめてもらってる 本当は、物凄く恥ずかしいんだけど もうちょっと、もう…ちょっと、… ――…−、−−‐― こてんと、俺の胸に寄りかかった雅の頭 熟睡していたはずなのに、そんな振動で目が覚めた 『…!』 寝起きでよく回らない頭を無理矢理動かし、状況を理解しようとする えーっと、雅を連れ出して屋上に来て 確か、雅が大泣きしたんだっけ それで… 寝ちゃったんだ、抱きしめたまま 『…睫毛、長いんだな』 我ながら変態っぽい発言だ 起きてたら、やばい どうも朝、初めて会ったときから、気になっていた ―――苦しそうな表情に 監督の家に居候しているらしいから、まぁよく会えるといえば… って、何考えてんだ俺 自己紹介も、授業中も 何か考え込んでいて、苦しそうで 俺だって、夕香が事故にあったとき 悔しくて泣いたさ 俺が、サッカーやってなかったらって でも、円堂達が気づいてくれた 気づかせてくれた 夕香のためにサッカー続けなくちゃいけないんだって だから、雅にも 理解してくれる人が必要だと思うんだ 傷つけたのも傷ついたのも (どっちも苦しんだ だから、強くなろうとするのさ、人は) (c)ひよこ屋 [*back][next#] |