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慰めないで、ばかげた嘘で


無言で腕を引かれ、スタスタと早足で歩く豪炎寺くん

少し強めに握られる腕は痛くて、真剣な表情に文句すら言えなくて


あれれ、保健室じゃないのかな?

どう考えても上に向かってる気がするよ?


『ちょっと、豪炎寺くん…どこ行くの』


勇気を振り絞って

しかし彼は真剣な表情のまま、ただ進んでいく

そうですか、シカトですか


無言のまま、辿り着いたのは屋上

空が、青かった


『綺麗‥』


そういえばあたし、空好きだったんだっけ

マイデジカメ持ち歩いて、学校ではバレないように撮ったりして


空や景色、人の表情

もう二度と同じモノは見れないんだって思うと

どうしても撮りたくなる


『雅、』

『?』


―――泣きたいときに、思いっきり泣け


『…ぇ、?』

『格好悪くなんかない
泣きたいときに泣かないヤツのほうが、よっぽど格好悪いんだ』


図星といえば、図星

あたし、そんなに分かりやすいのかな


『…だ、大丈夫だから』

『嘘つくんじゃない』


また真剣な表情をしている豪炎寺くん

すると勢い良く引っ張られたかと思ったら


―――あたしは彼の腕のなかにいた


『ちょ、ちょっと豪炎寺くん?!』

『受けとめてやるから、泣け』


まるで魔法にかかったかのように

その時あたしは、零れ落ちる涙が止められなかった






(一度悲しみを知れば、人は弱くなる)



 (c)ひよこ屋

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