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泣いてごらんよ、鬼ごっこ


授業を半分くらい、それ以上か

聞き流しながら、右手はペンを握りノートの上

左手は頬の上


―――冷めている自分がいた


授業の内容は、三年生だからか、

難しくなっている気もする


豪炎寺くんとあたしの机の間に置かれた教科書は

あたしの視界には一切入らない


―――後悔なんて、ないはずなのに


何気なく生きてきて、誇りもこだわりも情熱も

何もかも少しずつ経験してきただけだ


どうして、あの日常がこうも愛しく感じるのだろうか


そして気づく

あたしは、父さんと母さんが好きだったのだ

あの時、止めるべきだったのだ

それか余計なことを言わずに、黙ってれば良かったのだ


後悔は、こんなに胸を締め付けるのか

そんなこと、知りたくもなかった


―――無性に自分が悔しくて、泣きたくなった


でも、ここは人前

我慢だ、我慢

中三にもなって、泣くなばかやろう


必死に涙を堪えていたら

突然豪炎寺くんが手を上げた


『先生、
―――雅の調子が悪いので、保健室連れてきます』


いやいや、何言ってんの

あたしの同意も無しに、腕を引かれて教室を飛び出した


あ、今先生が何か言ったよ豪炎寺くん






(何を感じとったの、君は ほら、教室からの鬼ごっこが始まったよ)



 (c)ひよこ屋

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