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動き出す物語


転校して何日かが経った


『悠乃ちゃん、おはよう』


道も覚えた、もう一人で登下校ができるのに

心配だから、と毎朝律儀にも迎えに来てくれる円堂くん

なんか、みんなに甘えっぱなしだなぁ、と思いながらも

やっぱり一人で登下校は淋しすぎるから、円堂くんの優しさに甘えて

一緒に通ってたりもする


『秋ちゃん、おはよう』

『おう秋、おはよー』


両手を前に、鞄を持つ姿は正真正銘の女の子で

可愛いよね、絶対彼氏とかいそうだもの


『私も一緒に行っていい?』

『あぁ!』

『もちろんだよ』


円堂くんの少し後ろを歩いていたあたしの隣に並んだ秋ちゃんは

ショートの髪を揺らしながら、ふわりと微笑んだ


『悠乃ちゃん、もう学校には慣れた?』

『うん、みんな優しいしね
すっごく楽しいよ』


そっか、とまた嬉しそうに笑った秋ちゃん

何をしても、可愛いなぁ


『そういえば雅、部活決まったか?』

『え? あー、うん』


サッカー部のみんなとはかなり仲良くなった

円堂くんが、帰りに一緒に帰るから待っててくれと言ってくれるから

秋ちゃんやマネージャーさん達と一緒に、応援をしながら練習をよく見てる


希望はやっぱり2年間やってきた吹奏楽だったんだけど

四月にはもう夏のコンクールの曲に入っているし、新入生の引き抜きに忙しいだろうし

半端になっちゃうなぁ、と悩んでいる


『悠乃ちゃんって、運動できそうなイメージだよね』

『え?』

『あー、わかるわかる!FWっぽいよな!』


運動=スポーツ=サッカーで成り立っているであろう円堂くんの頭の中

確かFWって、豪炎寺くんがやってる………


『どうしたの悠乃ちゃん…、顔赤いよ?』

『ッ!』


最近、何故か豪炎寺くんのことを考えると、顔が熱くなる

やっぱりあんなことがあったからだ

未だに理由を聞く勇気が出せなくて、スルーばかりしている






(それは、知らぬ間に始まっていた)



 

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