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”God of Death” ※オリジ

嗚呼…独特の火薬の臭いがする。

−銃−−−


ある日のニュースで、また犯罪が起きた事を報道していた。
どうやら女性ばかりを狙った連続通り魔事件らしい。
既に9人の女性が被害を受け、手や腕や腹などに程度はまちまちだが負傷したとのこと。
被害者の9人の女性は皆、美しい顔立ちだそうだ。

「この事件、黙って見過ごす訳にはいかないわ」

そう言って現れたのは夜の妹、憂(うい)。
憂もBR経験者であり、優勝者。
”死神”になったのはごく最近である。
憂は顔立ちこそ美しいが、問題は性格だ。
「その事件の犯人、絶対に捕まえて逃げられないようにロープで縛ってマシンガンで蜂の巣にして最後はバズーカで粉々にしてあげるわ」
憂は明らかに黒いを超えたドス黒い笑みを浮かべて言った。
憂の武器は銃。
幅広い種類の銃を使いこなせていて、バズーカは片腕で軽々と撃ち放つ。
憂が武器庫から銃を出してこようとした時、夜の弟で憂の兄、静(しずか)がやってきた。
左手にノートパソコンを持っている。
静は器用で何でも出来、犯人のある程度の現在位置まで特定できる。
そんな静も、やはりBR優勝者で”死神”である。
武器は日本刀。
キレると町一つは破壊出来る。
「憂は行くな。地域住民に被害が出る」
妹を心配しているのではない。
「でも静兄さん、今回の事件は女性が狙われているのよ。ここは私が出ないでどうするのよ?」
どっちにしろ、犯人のお目当ては女性。
夜や静では厳しいだろう。
憂の協力は必要だ。
静は渋々承諾した。
「今回は夜兄さんはお留守番よ」
「あぁ。もし何かあったら呼べ。直ぐ行く」
「幾ら私がまだ新米”死神”だからって甘く見ないで」
余裕の笑みを浮かべて、憂は支度を始めた。

深夜、人の気配のしない道を憂は歩いている。
家を出る前のやり取りを思いだす。
『ねぇ見て、兄さん。これなら犯人も直ぐ来るわ』
そう言ってきた憂の格好は、白いノースリーブのワンピースに白いカーディガン。
白いバッグと白いハットという白づくしだ。
『まさか靴は…?』
夜が訊ねる。
『真っ白のハイヒールよ』
『…』
『夜兄さん、何か?』
『いや、何でも』
『憂、仏頂面なんてしてたら犯人は来ないからね?笑顔だよ、笑顔』
『分かったわ、静兄さん。ありがと』
武器庫から銃を取り出し、バッグに詰める。
『それじゃあ、行ってきます』

コツ、コツ、コツ…
憂の靴音だけが響く。敢えてゆっくり歩いて奴の気配を感じ取る。
ジリッ
「…」
来た。
しかし気付いていないフリをして歩き続ける。
奴の黒い気配が一気に近付いて来た。
奴の凶器―ナイフを避け、頭部に蹴りを入れる。
「ッグゥ…!」
奴が唸る。
そして憂に顔を向けると、そこには銃口の闇が広がっていた。
「あなたが連続通り魔事件の犯人ね?」
今から起こる惨劇を想像してか、憂の表情は犯人を恐怖に陥れた。
「ひッ…!」
「逃がさないわよ」
まずは2発、両手に。
静かな夜の道に銃声と犯人の悲鳴。
赤黒い血が垂れる。
その内辺りには血溜まりが出来る。
次の2発で両足を撃つ。
更に犯人は叫び、のた打ち回る。
ロープで縛る必要が無くなり、憂はマシンガンに持ち替える。
「蜂の巣にしてあげる」
憂はにんまりと笑って、助けを請う犯人目掛けて引き金を引いた。
銃からの振動。
肉塊になっていく犯人。
火薬と鉄の臭い。
それら全てが憂の気持ちを昂らせる。
マシンガンの弾がきれ、憂は体中に付着した返り血と真紅に染まったワンピースを気にせずに最後の作業に移った。
犯人―否、犯人だったモノは肉は飛び、骨が剥き出し、目玉は潰れ、耳も鼻ももげて、内臓という内臓は原形すら判らない。
バズーカに持ち替え、弾を入れるとガチャンと音がした。
犯人だったモノへ狙いを定める。

「砕けろッ!!」

轟音と共に、肉塊は血溜まりのみ残して消えた。
憂はバズーカを軽々と肩に担ぐ。
「男は女を優しくしなさい」

「ただいま」
全身血にまみれ、血と火薬の臭いを漂わせた憂が帰宅した。
「お帰り。直ぐにお風呂に入ってきてね」
出迎えた静はタオルを差し出しながら言った。
「そうするわ」
憂は風呂場へ向かう。
「何だ、また派手に殺ってきたな?」
夜が溜め息混じりに言う。
「これが私のやり方なの」
「やり方ね…」
「えぇ、とっても楽しいわ」
「…」
風呂場に行った憂の後姿を見送る。

憂は狂っている。
殺しに快感を感じている。
『楽しいわ』
そう言った時の笑顔は、ひどく残虐で。
夜は、我が妹に少しだけ怖ろしく思った。


――――――――――

夜の兄弟初登場。
静は17歳。
中3でBR優勝。
憂は14歳。
中1でBR優勝。

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あきゅろす。
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