小説2 おしまいの日(R+D) 先生…。 私は最後の力を振り絞り自爆スイッチを押した。 轟音。 爆風と共に吹き飛ばされる。 其の瞬間、赤毛のレプリカがカイザーディスト号を攻撃した衝撃で、皆を巻き添えに消し飛ぶどころか、私の身体は宙を舞い、地面に叩きつけられた。 遠くの方で炎と煙を上げているカイザーディスト号の姿が視界に入る。 そして、地面に貼り付けられた私は動く事も出来ず、仰向けになったまま。 襲ってくる激痛。 致命傷だろう。 一思いに逝けなかった事を後悔するような痛み。 強制的に見る事になる景色は青。 紺碧の空と、眩しい太陽の光。 ああ。 私は死ぬのか。 自分の凄惨な姿を見たくもないから、私はただ、空を見つめ続ける。 ごぼり。 熱いものが唇から零れ落ちる。 苦しい。 願いは叶えられることも無いまま。 視界がぼやけてゆく。 薄れゆく意識の中で、私は誰かの声を聞いた。 そして手には何かが触れている感触。 私はこの感覚を覚えている。 閉じそうになる目蓋をなんとか持ち上げて、私に触れている相手を見る。 ああ。 それはあの人では無かったけれど。 一生懸命私を想ってくれた人。 最後に隣にいてくれた人は彼ではなかったが、不思議と満たされた気持ちになった私は、再び目蓋を閉じた。 さようなら。 [*前へ][次へ#] |