[携帯モード] [URL送信]
死にたくなるほどに





嗚呼、赤が流れてく。ざーざーと、僕がせき止める其れを捻るまで途切れる事無く続く水音と共に。
けれど其れはざーざーと音をたてることは無く、ただただ指先を伝っては落ち、水音と混ざって竜巻のように吸い込まれていく。
赤が溢れる其処は白に、横一文字に線を成し、またそこからとめどなく溢れる。
最初こそ痛みもあったものの、今じゃそんなこと、身体の何処からも感じられなかった。

ぼんやりそんな風景を眺めていたら、ふいに携帯電話のディスプレイに明かりが灯る。
サブの小さな画面には「新着メール1件」と表示されていた。

「誰なの、もう僕は死ぬんだよ、もう、やめて…」

心の其処から溢れ出るままに言葉を紡いで、メールの差出人を罵る。(ごめんなさい、本当は貴方に罪など無いかもしれない)
口でも、心でも、頭でさえも、口から溢れるままに思っているのに…。

赤が溢れるのと逆の手で、まだ光の消えない携帯をパカ、と開いていた。
メールを確認すると、そこには、僕をこんな風にした張本人の名前があって。
少し躊躇った後、メールを開封した。

『半兵衛ごめん。死ねとか言ってごめん。半兵衛、大好き。ごめんね、本気じゃなかったんだ』

そんなに傷つくとは思って無くて。

嗚呼、莫迦だよね、慶次くん。

「もう、手遅れかもしれないんだけど」

口にするに遅れて、指が其れを携帯の画面に映し出す。
送信ボタンを押したら、なんだか体の力が抜けた。嗚呼、まだ死んではいけないんだって。死ななくて良いんだって。

携帯を床に放って、左の手首から溢れる赤を止めにかかる。
あ、なんか頭がくらくらする。それに赤が止まらない。

やめて、

慶次くんは、まだ僕をすきだって、まだしななくていい、って、

言われたんだ。ねぇ、お願いだから…

必死にその場に有ったハンカチを押し付ける。空色をしていた薄い其れはすぐに赤に染まっていく。

やめて、やめてよ、ねぇ、

ついに頭のくらくらは最高潮に達して、僕はついに意識を手放した。





.....To be continued!



next

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!