この減らず口!
「彼は強くて、格好良くて、博識で、とても素晴らしい人だよ!」
恍惚とした表情で彼が珍しく力んで言う。
敵同士なのに肩を並べて何で座ってるんだろう。
あぁ、俺が、彼と話したくて、引き止めたんだ。
『秀吉のどこがいいんだよ。』ってね。
必ず彼はこうやって力説してくれるって思ったから。
実際本当にそうなってるし。
「ふーん…でもあいつなんかより俺のほうが、」
「いいや彼に勝る人間はこの世に一人と居ないよ!」
格好いいだろ?そう言おうと思ったのに、彼にすごい勢いで邪魔されてしまった。
ここまで言われるとこっちも意地になってくる。
絶対俺のほうが格好良い!
頭は…むこうのほうがいいかも…。
戦力も…向こうの方が強いかも…。
いいや俺のほうが格好いいんだ!
「頭いいのも強いのも認めるけどさ、顔は俺のほうが絶対良い!」
「いいや彼の顔の方が格好良いよ!」
「俺のほうが人柄がいい!」
「天下を統一するためにはあのぐらい冷徹な方が向いている!」
「俺のほうが半兵衛を愛してる!」
「いいや彼のほうが僕を愛しているさ!」
ああ言えばこう言う!
嗚呼、あんな猿の何処が良いんだ!
猿なら俺の肩の上にも居るからさ!
(お願いだから俺を選べよ!)
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