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鎮魂歌




「半兵衛…はん、っべ……何で、何で、」

何で俺の腕の中から居なくなったの。
そう問いかけても返事が返ってくることはなくて。
ただ、ただ、早朝のしっとりとした空気中に俺の嗚咽だけが響く。

「あ゛、ぅ、うぅ…、はんべ、はん…っ、ぅっ…」

半兵衛の両肩に添えていた手をそっと背中にまわして、抱き寄せる。
手に触れた時に嫌と言うほど分かっていたけれど、
やっぱり抱き寄せた彼の体は冷たくて。

けれど、白くて綺麗な肌、長くてきらきらと光る睫毛。
光に溶け込んでしまいそうなほど美しい銀色の髪、弧を描く薄桃色の唇、
俺が昨晩贈った寝巻に包まれた肢体。

全部が全部、昨日の夜俺の腕の中で眠っていた半兵衛のままで。

(眠っているようだ…)

そい思ってまた涙を零した。もう彼が目覚めることなどないのだ。

「嗚呼、はんべぇ、ぅっ…はん、べ……。好きだよ、愛してる。はんべ…ぇっ……」

抱き寄せた彼の胸に顔を埋めて、嗚咽混じりに愛を呟いた。

俺はもう半兵衛しかいらないんだよ。

半兵衛しか愛せないんだ。



まだ半兵衛としたいことが沢山あった。


ただ向かい合って喋ったり


手を繋いだり


腕をくんで歩いたり


一緒に出掛けたり


口付けしたり



体を重ねたり


昨日の俺は、これから先の時間、もっとずっとずっと一緒に過ごせると思ってた。
こんなに早く終わりを告げられるなんて思ってなかったんだ。
こんなことならもっともっと、好きだと、愛していると、告げれば良かった。


(馬鹿だな、俺……。)














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もう君以外を好きになることなど、ありえないだろう。
本当に、本当に大好き。愛してるよ半兵衛……

そう呟いて、半兵衛を抱き上げ、
彼が安らかに眠れる場所を探しに歩き出した。


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あきゅろす。
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