大好きな
朝起きたら半兵衛が居なくなっていた。
昨日の夜俺の腕の中で眠っていたのに。
(病人のくせにこんな時間にどこいったんだよ…)
春とはいえど、まだ早朝である今は肌寒い。
まず城内から探してみることにした。
「はんべぇー?」
返事は返ってこない。
―――――…まさか一人で倒れてたりしないよな?
急に嫌な予感が頭をよぎる。
(まさか、な。大丈夫、半兵衛に限って、ねぇよな…)
そう、焦る心にいいきかしつつ、城外へと足を向ける。
城を出てすぐの所に、綺麗な小川が流れている。
半兵衛はそこで、懸命に泳ぐ魚を見るのが好きだから、
もしかしたらそこにいるかもしれない。
小さな期待を胸に小川に小走りに駆け寄ってみると、
「いた!」
半兵衛は川原の草むらに仰向けに寝転んでいた。
「はーんべ、起きろよ、また体調悪く……ッ!」
絶対零度
歩み寄って添えた手に触れた君の手は、背筋が凍るほど冷たかった。
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