東方機神録
白銀の少女、ゆい 白い死神、白銀
〜次元境界線上 次元境界面〜
「・・・・・・君は、一体・・・・・」
ゆい「わたしはね、“ゆい”っていうの」
ゆいと名乗った少女はそう言った。だが、あからさまにおかしな所があった。
一つ目は、服装。この次元境界面で白と蒼の着物を着ているということ。
二つ目に、この有毒物質が漂っている中で何とも無いこと。
そして三つ目に、帯刀していること。
「君は、なぜ此処に居るんだ?・・・・・・・此処は有毒物質が大量に有るのに、どうして君は平気で居られるんだ?」
ゆい「わたしね、このかたなの“かみさま”なの。だから、ここでもへいきなんだよ」
普通、今までの俺なら信じなかったであろうが、この死の間際だろうか?何故だかこの子は神なのだということが受け止められた。
「・・・・それで、君は何故俺の所に現れたんだ?」
俺は最もな質問をした。
ゆい「あなたの“ひかり”がみえたから」
何の事だと思っていると、俺の胸の中心が淡く光っていた。だが、其の光は消えそうになっていた。
ゆい「あなた、しんじゃうの?」
「・・・・・・・そうだな、此のままだと、死んじまうな・・・・・・・」
ゆい「あなたはそれでいいの?」
「ーーーーーーーーーーッーーーーーーーーーー」
ゆいの言葉が胸に刺さった。どうしようもなく嫌だった。
「・・・・・・死に・・・・たく・・・・ない・・・・・・・・・・・こんな・・・・・・・・・・何もない・・・・・・・・所で・・・・・・・死にたく・・・・・・・ない・・・・・・・・」
気付くと、俺は涙を流していた。
15の時に封印した筈の涙が流れていた。
ゆい?「なら、貴方はまだ生き続けなければなりません」
見ると、少女然としたゆいが大人びていた。
優衣「貴方はまだ死ぬ様な方ではありません」
そう言うと俺に刀を渡してきた。
其を受け取ると、俺の中の消えかかっていた淡い光が、白銀の光に変わった。
優衣「私とゆいは同一の存在、そして私達は貴方の中で生き続ける」
そう言うと優衣は俺の中に溶け込んでいった。
優衣「(貴方を現世に還す事は出来ませんが、幻想郷に送ります。其処は人間や妖怪、妖精や不老不死の者達が住んでいます。其処で貴方は生きて下さい)」
「(俺は其の世界に受け入れられるのだろうか?)」
ゆい「(だいじょうぶだよ。あなたは“げんそうきょう”がひつようとしているひとだからーーーーほら、みて)」
ゆいの指差す方向を見ると、大きな裂け目があり其の中に世界が見えた。
(あれが幻想郷・・・・・・)
優衣「(さあ、行きなさい。そして生きるのです。私達は貴方の中で貴方を見守っていますよ)」
ゆい「(いってらっしゃい、ひびき)」
俺は其の裂け目に引き寄せられ、そして意識を失った。
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