まりもちーず
リップクリーム
「おい、唇から血ィでてんぞ」
ゾロに言われるまで気がつかなかった。
俺としたことが、自分のメンテナンスを怠るなんて。
乾燥する季節、しょうがないのかも知れないが、いつもならこんなになるまで放置はしなかった。
いつものクセで唇を舐めるとゾロに舐めるな、と止められた
「舐めるのが一番乾燥しちまうんだとよ。」
ゾロらしくない一言に、少し驚いていると、
ゾロは自分の腹巻から何かを取り出した。
それはよく5本で100ベリーとかで安売りしてるミントのきつい香りのするリップクリーム。
「ほら、こっち向いて動くな」
いやいやいや…
お前が顎をがっちり掴んでるから動きたくても動けねぇっつうの
ゾロは恐ろしく真剣な目でそおっ…と丁寧にリップクリームを俺の唇に塗ってゆく。
やたらとゆっくり塗られて、やっと終わり、ふとゾロを見ると「よし」と満足げにニコッとした。
その悪戯っ子のような笑顔に一瞬ドキッとしたものの、その唇に目をやると少し皮が剥けていた。
「お前も唇荒れてんじゃねぇか」
そう言って目をつぶってゾロの唇に自分のそれを優しく重ねた
ゾロが厚塗りしすぎたリップクリームがゾロの唇についてちょうどよくなった。
「半分こ…な。」
終わり。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!