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まりもちーず
Another・Christmas
12月25日。
本当は今日がクリスマス。
なんでかイヴの方が盛り上がる。


今年のクリスマスは特別だ
左手の薬指に輝く銀の指輪
それを見る度に自然に笑顔がこぼれる。

レストランのキッチンで指輪を見たナミさんに
「お幸せに」
と微笑まれて純粋に嬉しかった。


今日は夕方で仕事は終り。
というのも、ゾロのバイト先を内緒で見に行くつもりなのだ。

ゾロが花屋で働いている。…それ、どうなんだ?
絶対花とか似合わない!
エプロンもしてるとこ見たことない!

だから、似合わない姿を見て思いっきり笑ってやろうという算段なのだ。



…いや、言い訳しても仕方ないか。

ゾロの働くエプロン姿。
俺も見たことないのに!
恋人の見たことない姿見たいと思うのは自然なことだろ?

…あ、恋人じゃないね///
もう旦那。

やばい、一人でニヤニヤしちまう。
アブナイ人だな(笑)


お、着いた。

どれどれ…ゾロは…と、
あ!居た!


ジャズが流れるオシャレな店内に黒い無地のロンTを腕まくり。グレーのジーンズに店のロゴの入ったベージュのシンプルなエプロンをして、大きな花の花瓶を両手で軽々ひょいと抱える

なんだよ…かっこいいじゃねぇか。

ってゆーか、ホントにかっこいい!!

どう考えてもワイルドオラオラ系なゾロがその対極にあるような可憐な花を大事に扱うなんて想像もつかなかったけど、そのミスマッチな感じが妙にかっこいい

それに街の女の子達が気付かない訳がない。

「ねぇ!あのお花屋さんの緑の髪の店員さん、めっちゃかっこよくない?」

「本当だ!ねぇ、ちょっと寄って行こうよ!」

ほう…何気に売上アップに貢献してんじゃん!

…でもなんか腑に落ちない

そのかっこいい人は俺の旦那なんです!って浮かれる女の子達に言ってやりたい
おかしいな。
レディ至上の筈の俺が、こんなこと思うなんて。
まぁ、良くも悪くもゾロのせいってことで。

実際に俺の旦那なんて言える訳もないが、心の中で静かな勝利宣言をした。

よく見てくれよ!
あいつの左手の薬指!

その薬指には俺とお揃いの指輪が…


って、あれ?

なんでゾロ指輪してないの?

おいおい!
俺との結婚指輪は!?



なんだよ!
昨日交換したじゃんか!

*****


「ただいま。あぁ〜腹減った!サンジ〜」



ドタドタと廊下を歩いてくる足音と呑気に俺を呼ぶ声

俺は仁王立ちで腰に手をあて、ゾロをキッと睨む。

「おかえり」

ゾロは俺を見て怪訝な顔をした

「どうした?美人が台なしだぞ?」

"美人"とサラっと褒められて赤くなりそうな顔の頬照りを気合いで抑えながら尋ねた。

「なんで、指輪してないんだ?」

ゾロの指輪のない左手を俺の指輪をした左手で指さす
「あぁ、これか」

だからなんだというような軽いノリで返事をされ、俺はキレた。


「何軽く流してんだよ!?結婚指輪だろ?俺は仕事中もずっとしてんだよ!なのになんでお前はしてないの?浮かれてたのは俺だけってことかよ!?」


あぁダメだ。
冷静になろうと思ってもこのあまのじゃくな性格が邪魔をする。


「別に左手にしてなきゃいけねぇってもんでもないだろ」

「結婚指輪は左手の薬指にするもんなの!この指にする指輪はなぁ、恋人や伴侶に対する気持ちの表れなんだよ!」

指輪のロマンを必死に語る俺の話もそこそこに聞きながらゾロはシャツの首元からネックレスを引っ張り出した。

「手にしてたら無くしそうだったんでこっちにしてる。別にお前の気持ち踏みにじってる訳じゃないから安心しろ。」

安っぽいボールチェーンに通されているのは紛れもない指輪。


「なんだ…よかった…。」

不安が取れてふにゃあっと床にアヒル座りにへたりこんだ。


「可愛いな、お前」

クックッと笑われて今度は正真正銘顔が赤くなった。

*****


「お前、"Lonely・Christmas"の二番の歌詞、知ってるか?」

ソファで二人、ピッタリ肩を並べてテレビを見てて、ゾロは俺の髪を楽しむように撫でている。


そういえば、あの曲は一番の歌詞しか知らない。

ゾロの方を見るとゾロは低い声で小さく歌いだした

"Merry・Christmas繋ぐ手と手。Merry・Merry・Christmasあなたに温もりとキスを"

歌いながら最後の所で俺の前髪にキスをした。

「やっぱ、ハッピーエンドじゃなきゃあな。」

「なんか今日のゾロ、変。凄いロマンチックだな」

「花屋でバイトしてるせいかな。…次バイトしてるとこ見に来るなら、コソコソ隠れねぇで堂々と来いよ。さっきはお前が気になって気になって客の対応おろそかになっちまったんだぞ?」


「いつのまにばれてたんだよ…」



おわり。




Lonely・Christmasの後日談。

Another・Christmas


今回描きたかったのは、「花屋で働くゾロは以外とかっこいいんだよ!?」と、「Lonely・Christmasの歌詞の続きはハッピーエンドなんだよ!」ってことです。

なんだかゾロのキャラが崩壊してるのはきっと新婚ボケでしょうWw

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