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「……ふ〜ん、佐伯先輩行っちゃったんだ。でもさ、もうすぐ卒業なのに何考えてんだろ。」
「…………うん。」

この位置からは、
二人が何を話しているかは分からない。
一年の天地が話す言葉に、ポツポツ頷く奈子の姿が見えるだけだ。

海辺での奈子の態度に納得がいかなかった俺は、
あれから毎日じいちゃんの片付けを手伝ってくると言っては、はばたき市に向かい距離を置いて奈子の様子を観察した。

俺が珊瑚礁を理由にすると、いい顔をしない両親。
勉強はしっかりやってるよと笑顔を返して、家を出てきた。

……正直、ウンザリだ。


「……瑛くん。」
「佐伯先輩、なにやってるんですか。」

ボンヤリ考えこんでいたら、いつの間にか足を止め振り返っていた、奈子と天地に見つかった。

跡を付けてた気まずさと
他の奴と仲良く話す奈子に、
腹が立った俺は勢い任せて呟いた。

「……人魚が淫乱だから、若者は去っていったんだ!」
「…………さいってい!」

パァ--ン…‥
と響く音と強烈な痛み。
その瞬間ーー
引きつった天地の顔が視界を滑った。

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あきゅろす。
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