2 「……ふ〜ん、佐伯先輩行っちゃったんだ。でもさ、もうすぐ卒業なのに何考えてんだろ。」 「…………うん。」 この位置からは、 二人が何を話しているかは分からない。 一年の天地が話す言葉に、ポツポツ頷く奈子の姿が見えるだけだ。 海辺での奈子の態度に納得がいかなかった俺は、 あれから毎日じいちゃんの片付けを手伝ってくると言っては、はばたき市に向かい距離を置いて奈子の様子を観察した。 俺が珊瑚礁を理由にすると、いい顔をしない両親。 勉強はしっかりやってるよと笑顔を返して、家を出てきた。 ……正直、ウンザリだ。 「……瑛くん。」 「佐伯先輩、なにやってるんですか。」 ボンヤリ考えこんでいたら、いつの間にか足を止め振り返っていた、奈子と天地に見つかった。 跡を付けてた気まずさと 他の奴と仲良く話す奈子に、 腹が立った俺は勢い任せて呟いた。 「……人魚が淫乱だから、若者は去っていったんだ!」 「…………さいってい!」 パァ--ン…‥ と響く音と強烈な痛み。 その瞬間ーー 引きつった天地の顔が視界を滑った。 [*前へ][次へ#] |