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引退試合

今日で部活も最後か……ん?

始まってる!
ずいぶん早いな……
とにかく急がなきゃ!

(あれ……嵐くんと
新名くんしかいない?)

いいとこに来た。

嵐くん。
どうしたの?
こんなに早く……

乱取りしてた。
とりあえず新名に
ドリンク飲ませてやって。
そこでのびてるから。

えっ!!

アチイ……
水かぶって頭冷やしてくる。
アイツ頼んだ。

新名くん、
はい、ドリンク。大丈夫?

……うん。あんがと。

あー……やっぱスゲェよ。
何だよあの人の腰の重さ。
反則だぜマジで。

ポイントは取れた?

ポイントどころか、
まともに技も掛けさせてもらってねぇよ。

けっこう強くなったと
思ってたんだけどなーー……
ヨワヨワだ。オレ。

……なあ。
引退って延ばせねぇの?
オレらだけじゃ
どうにもなんねぇよ。

それは……

情けねーこと言ってんな。

嵐くん。

続き、やるぞ。

……押忍。

誰が弱いって?

…………

今日一度も全力
出してねーヤツが
なに言ってんだ。

出してますって!

最初の日。
柔道をやりたくなくて
俺を投げ飛ばした。
あれがおまえの本気だ。

あれから柔道始めたんだ、
弱いわけねーだろ。
次期部長になるヤツが
甘いこと言ってんな!

……ハァ!?
部長って……オレが!?

かかって来い、全力で!
さアッ!


……ッラァ!

(嵐くん……
新名くん!)

できるじゃん。

……あんな風に言われたら
誰だってできますって。
てかさっきの話……マジすか。

大迫先生も、1、2年生も
全会一致でおまえを推した。
マネージャーも。

マジで?

うん。

オレが……

……部室どころか、
部員ゼロのとこから
始まって、ここまで来た。

将来有望なヤツを
見つけることもできた。
ここで俺ができることは
もう終わりだ。

新名。
この部を……守るだけじゃなく
進化させていってくれ。

……押忍!
お疲れ様でした!

ああ。あとは頼んだ。

(本当にお疲れさま、
嵐くん……)



あきゅろす。
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