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女にとっての誕生日は特別なモノらしい。

それは男にとっても変わらない。





「おっせぇ……」


夕暮れ時、一人イライラ鵺月を待つ。
鵺月は今日も呼び出しくらって、ついてくっ!っつったらやんわり断られた。
オレはいても立ってもいられない。
……だからこうやって校門で待ってるワケなんだけど。


「ごめんー」


パタパタって鵺月がオレに向かって走って来る。
緩みそうになる顔を慌てて直して出来るだけ不機嫌そうに声をだした。


「……おっせぇよ!!このオレを待たせるなんて10年早ぇぞ!」
「……もう、だから先帰っていいよっていったのに」


困ったみてぇにごめんって言う。
でも本当は、オレが勝手に待ってただけなんだけど。



新学期に入って何度目かのこんなやりとり。
今月の末には鵺月の誕生日とオマケに来月にはバレンタイン。それが終わったら卒業式。
残り少ない最後の高校生活を派手に飾りたいなんて考える事はみんな一緒だ。



持ち前の天然っぷりを多いに発揮し、向けられた笑顔に勘違いした男達は今日も鵺月の前に列を作る。

登校した途端鵺月に群がって来る。
昼だってオレが横にいんのに意気揚々って感じで音楽室の扉を開けては、ことごとく肩落として去って行く。

そんでも隣りでパン囓りながらオレは気が気じゃない。

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