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SSS
1年7組の二人。
キーンコーンカーンコーン…


今日も今日とていい天気の埼玉県立西浦高校の1年7組は、4時間目の数学は自習である。

そんな7組の常識人(と本人は思い込んでいる)野球部主将と気遣いのある(と本人は以下略)某レフトとの会話。

「花井〜、プリントできた〜?」
「あー、全然おわんねえわ、つか俺に数学聞くなよ、数学っつったらあれだろ、いるだろ他に適任が」
「科目だけ見たら確かに適任だけど、人選が適任じゃないもん」
「……(否定はしない)」
「それにさ〜、なんか知らないけどプリントも見ずに窓の外ばっか見てるよ、うちのキャッチ」
「……(外?外になんかあったか?)」
「そっからさ〜、調理室が見えるんだよね、今日9組実習らしいよ、昼ごはん作るんだって」
「……(だからなんでそんなとこ見てんだよ)」
「あれだね、教室内なんて見えるはずないけどチラっとでものぞいたら嬉しいんじゃない?あの茶色いふわふわくせ髪とか特徴的だから、少しでも見えたら見分ける自信があるんじゃない?」
「……(そんな自信いらんわ)」
「あれ?阿部、どこに行くの?…って飛び出しちゃったよ。なんだろね?あれ」
「……(知るかよ、知りたくもねえよ)」
「んー、考えられるのは三橋がらみだけなんだけど。そもそも見えるはず無いし、メールとか見ても無かったしなんだろ?」
「……(ってか、間違いなく調理室なのか?意外と便所かもしんねえじゃん。けど、そんなん言いたくないし。言ったら空しいし)」
「あれかな、見えるはずも無い三橋の怪我でも見えたのかな。って、あ、泉からメールだ」
『お前のクラスの馬鹿垂れ目性悪捕手を引き取りにこい。三橋が包丁で指切ったのなんでわかんだよ。どうして先生より早く三橋の指の止血できんだよ。そん時に指咥えるン止めさせろよ。せめて早く引き取りに来いよ』
「あはは〜、泉も余裕だねえ、こんなメール打てるなんて。でもどうやって止血したんだろうね?」
「……(それこそ知るか)」
「やっぱりあれかな、ベタに指をチューって吸ったのかなあ。どう思う?花井」
「……それこそ知るか。もういいから、阿部のプリント今あんだろ?写そうぜ」

何も考えたくない二人は、黙って阿部の完全正解(らしき)プリントを写し始めた。


昼休み、恐ろしい形相の泉が阿部を引き取りにこなかった二人をシメるのは、また、別のお話。








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