[通常モード] [URL送信]

SS
B
声を出さずに、喉の奥で、おなかの中で、くすぐったく笑う。

自分だけの阿部、というのが嬉しくて。意外と子供っぽくて、自分に空を見せたいだなんて。

他の部員が知ったら、キモっ、とか、こわっ、とか言われるんだろうなと思う。

でも、自分にとっては、新しい一面を見る大事なこと。
大事で大事で。見落としたくない。
すべて見ていたい。掌に落ちてくる全ての彼を、受け止めたい。


ふと、背中に違和感を感じた。


ゆっくり動いている雲を見ているうちに、なんだか感覚がおかしくなっているのかもしれない。なんだか。

背中が、動いているような気がする。

『ほんと だ』

地面が動いている。

少しびっくりして、でも阿部の言葉に間違いがなかったことが嬉しくて、三橋はくすぐったいままだ。


動いてる地面はどんどんふわふわと自分を押し上げてくる。なんだか少し、背中が地面と離れている気がする。

『さすが に それはない、 よね』

どきどきしながら、自分で否定すると。

その瞬間。


[*前へ][次へ#]

3/5ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!