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ミリバ 短編集
再会と組み分け
(叢雲Side)


ホグワーツ特急がホグスミード駅に到着した。

叢雲は三年目を待っていた。三年生になってからようやっと行けるホグスミード村…悪戯専門店ゾンコ!

そんなワクワクを押さえきれないのは仲間達も同じで…

馬なし馬車に乗って、ガタガタ道を揺られながらウィーズリーの双子と、リーと俺の四人で今後の悪戯について論議していると、あっという間にホグワーツ城に到着した。はえー。

どんだけ語らってたんだ俺ら。





大広間に入ってグリフィンドールのテーブルの方へ歩いて行くと、何人もの懐かしい顔に再会した。



「やぁ、久しぶり。マクベス、マリリ。休暇はどうだった?」

「叢雲も相変わらずだな、俺たちは日本に旅行に行ったよ」

「お土産、後で渡すね」

「おう」



「やあやあ、叢雲」



パーシー・ウィーズリーに声を掛けられた。

制服には監督生バッジがキラリと輝いていた。どんだけ磨いたんだよ…と、思う。



「監督生おめでとうごさいます、先輩」



マクベスは顔色を変えることなく社交辞令を述べる。うん、流石な猫かぶり。



「まぁ、当然のことさ。君達も何か困ったことがあったら僕に言ってくれよ。n「なんたって僕は監督生だからねぇ」ッマラドーナ!!」



パーシーの台詞を遮ったマラドーナは笑っていた。



「君が監督生とか、目を疑いたくなるよ」

「それほとでもッ」



「「「(褒めてない…)」」」



マクベスとマリリと叢雲の心の呟きが一致した瞬間だった。

皮肉を込めて言ったパーシーだったが全く動じていないマラドーナであった。

あ、パーシー悔しそう。





「諸君、そろそろ新入生が来る頃じゃ」



ふと見れば、教授達はもう揃っていてその中にマロンの姿がある。手を振れば振り返してくれた。

ダンブルドア校長の一声で、ざわついていた生徒達の声も段々と小さくなる。

そういえばヒキガエルを探していた新入生は無事にペットを見つけられたのだろうか?と、すれ違った時に聞かれた事を思い出す。

まぁ後で聞けばいいか。

大広間の入口の方を見ると、扉が静かにゆっくりと開いた。

マクゴナガル教授に続いて入場して来る新入生は、皆一様に緊張した面持ちだ。

はて、自分の時はどうだったか。



一年生全員が大広間に入り終わると自然に入り口の扉が閉まり、毎年恒例の組み分け帽子による歌が始まる。



私はきれいじゃないけれど
人は見掛けによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私はホグワーツ組分け帽子
私は彼らの上を行く
君の頭に隠れた物を
組分け帽子はお見通し
被れば君に教えよう
君が行くべき寮の名を

グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が住う寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール

ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない

古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう

スリザリンではもしかして
君は誠の友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ

被ってご覧!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
君を私の手に委ね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!



拍手の後、いよいよ新入生の組み分けになる。

早速マクゴナガル教授に名前を呼ばれる。




「アボット・ハンナ」



1番最初って勇気いるよな。アシュランス・叢雲の俺も1番だったのは余談だが。



「ハッフルパフ!」



右側のテーブルから、歓声と拍手が上がる。



「ボーンズ・スーザン」

「ハッフルパフ!」



次々と組み分けが行われる中、在校生たちは拍手を挟みながら静かに見守る。




「グレンジャー・ハーマイオニー」



ふわふわ髪の女の子、ハーマイオニーが緊張した顔で帽子を被る。少しの沈黙の後、



「グリフィンドール!」


叫んだ帽子の声に、グリフィンドールのテーブルから大きな歓声が沸き起こる。

ハーマイオニーは、ぱぁっと明るい笑顔を見せた。



「グリフィンドールへ、ようこそ!!」



グリフィンドールのテーブルに駆け寄り、パーシーにそう声をかけられたハーマイオニーは、嬉しそうに微笑んだ。



「ロングボトム・ネビル」



あ、さっきのヒキガエルの子だ。

椅子へ歩いて行く途中で見事に転んだネビルに、叢雲は無性に応援したくなった。

椅子に座って組み分け帽子を被ったネビルは、誰が見ても気の毒なくらいに緊張している様子。大丈夫か、あの子。

組み分け帽子は時間をかけて考えているようだ。1番長いんじゃないだろうか。




「グリフィンドール!」



溜めに溜めたせいか、グリフィンドールの生徒の中に立ち上がるやつがちらほら。

そんなネビルは、どこか嬉しそうな表情をしている。…あ、帽子を被ったままこっちに来ようとして、慌てて戻って次の子に渡した。



「マルフォイ・ドラコ」



あ、フォイフォイの番か。某掲示板のアレを思い出す。



「スリザリン!」



その後も順調に組み分けが進んでゆく。そして例の“生き残った男の子”の名前が呼ばれた。


この物語の主人公…



「ポッター・ハリー!」



大広間がざわつく。

ヴォルデモートを撃ち破った英雄に祭りあげられた可哀相な少年に俺は見えた。

ヴォルデモートの脅威というのが、いかに大きかったのが伺える。

同級生や先輩の中にも親、親戚が犠牲になり殺されたやつも少なくはない。



「…グリフィンドール!」



割れんばかりの拍手大喝采に俺は耳栓をしといて良かった、と思った。

双子が「ポッターを取った!」と叫んでいる中、あまりの大歓迎ぶりに困惑したように歩いてきた。



「ウィーズリー・ロナルド」



最後のほうまで残っていたウィーズリー家六男坊ロン。



「グリフィンドール!」



パーシーと双子が、ホッとしたような表情をしたのを俺は見た。兄弟っていいね。

賑やかになりそうだ。



長かったは組み分けは終わり、食事が現れた。













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あきゅろす。
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