ミリバ 短編集
ホグワーツ特急の車窓から
9月1日キングズ・クロス駅
9と3/4番線ホームにて
一ヶ月振りに学校へ戻る生徒や新入生の家族で賑わっていた。
「マクベス、マリリ…体に気をつけるんだよ。月に一回は手紙をk「これ車内で食べな!」
そう言うのは、こちらの世界での両親。
心配性な父、ユアンの台詞を遮った男勝りな母、アマリリス。
二人とも魔法省で働いている。
新薬研究所という所らしい。
今日も仕事なのだが、本当は休みを貰った二人だったが母は根っからの働き者で、この後すぐに仕事に行ってしまう予定だ。
マリリは、アマリリスからランチセットの入った袋を貰った。
「クリスマス休暇には帰るんだよ!」
「「うん」」
マリリと俺は頷けば、それに満足した母は、じゃあねと言って父を引きずるように去ってしまった。
…言い忘れたが、マリリと俺は二卵性の双子である。
*****
列車は、ゆっくりと走り出し景色が建物から緑が変わる頃に、その人物はやってきた。
―ガラッ
「よぉ、一ヶ月振り」
もう制服に着替えてるマラドーナに俺は早くないか?と思った。
…が、どこかその顔は、にこやか過ぎて気持ちわるい。
てか、「よくここがわかったな」と言えば「勘がいいから」と、返ってきた。
「見よ!この監督生バッチ!!」
「わぁ、凄いね」
「調子に乗りすぎてマロンに減点されればいい」
「Σ酷ッ」
「マラって、うっかりなところあるもんね」
「マリリまでッ!?」
二人の容赦ないツッコミにマラドーナは打ちひしがれ、床にorzの状態で通行人を妨げていた。
つーか、監督生とか面倒なだけだろ…
三年後、校長から送られて来たら送り返してやろうと誓った。
あっという間に復活した張り切っているマラドーナから視線を逸らし、流れる外の景色を眺める。
「くぁ…」
嗚呼、寝足りないな…
*****
お昼の1時過ぎ、車内販売のおばちゃんが通り掛かった。
去年は手持ちが無かったから諦めたけど、今年は父さんから少しだけお金を貰ったから買えると思うとワクワクした。
ランチの後に食べよう。
何がいいかな。
百味ビーンズ、蛙チョコ、大鍋ケーキ…
うーん、どれにしよう。
全種類は買えないからな。
…まぁくんは眠たそうだし勝手に決めちゃっていいか。
「これと、これ下さい」
蛙チョコを四箱とその他色々を購入。
「まぁくん、起きて。お昼にしよ」
「んー…」
ランチの入った袋を手渡せば寝坊ながらも兄は、もそもそと食べはじめる。
「(寝ながら食事って、さすがまぁくん)」
不意にコンパートメントの扉を控えめに叩く音が聞こて、マリリは扉の方を見た。
開けてやると、丸顔の男の子が泣きそうな顔をして立っていた。
「どうしたの?」
「…あの、ごめんなさい、僕のヒキガエルを見なかった?」
ネクタイが無いのを見て同じ新入生だと確信した。
マリリは、特急に乗り込んでから今までの記憶を思い返すが、蛙は見ていないと告げれば少年は泣きだした。
「な、泣かないで;」
うゎん、どうしよう!
「名前は…?」
gjまぁくん!!
「……へ?僕の?」
「ヒキガエルの名前」
「と、トレバー…」
まぁくんは鞄から杖を取り出すと、呪文を唱えた。
「アクシオ、トレバー」
すると、どこからか黒い物体が飛んできて、ソレはまぁくんの手に収まった。
蛙を彼に渡すと、今まで泣き顔だったのがパァっと明るくなった。よかった。
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