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ミリバ 短編集
女Mの悲劇



この世界にトリップという名の転生をして何年になるだろうか。24年だ。

戦場で死んだ筈なのに、再び目が覚めたら自由に手足を動かせないわ、言葉は喋れないわで本当に何がなんだかで焦った。

その反面、戦いのない平和な世界に転生?していることに安心を感じた。

スペインの一般家庭(ど田舎)で育った私は人生をエンジョイいていた。

前世では、物心ついた時には兵士として育てられ、訓練の日々。お洒落とか、恋とかそんな下らぬものに心を持っていかれる事は許されなかった。

だが今はなんて素晴らしいことか!

普通の女の子として今を生きている。友達だって沢山できた。まぁ、恋…は論外として。

そんな楽しい日々は、儚くも11歳の夏に幕を閉じた。


お母様の書斎にある難しい本を見ていたこともあり、普通の本屋には売っていないだろう奇妙奇抜的な挿絵とか小難しい用語とか、薄々感じてはいたけど
こうも突き付けられてしまうと、あれだ。



にっこーり笑顔の両親から私宛に届いた手紙を渡された。



これもまた前世で見たことのあるモノで…



―――――――――

バレンシア州 ベテラ
マリネス通り5番地

マロン・アニア・トゥリエル様

―――――――――



「買い物は、いつがいいかしら♪」



ルンルン気分のお母様…貴女、まさか魔女だったんですか…今、聞かされた事実に目眩がした。しかも純血ときた。マグルのお父様、よく結婚できましたね。幼なじみですかそうですか。



ああ、私の平凡人生よサヨウナラ…





そんな死刑宣告から14年、私は
此処、ホグワーツにて魔法薬学の助手をしていた。決して
あの根暗教授のパシリ的存在ではないことを覚えてもらいたい。

まぁ、他にも変身術、薬草学も助手として手伝っているが。

しかしメインはあくまでも魔法薬学だ。あくまでも。

それも、もう終わるけど…。







***








必要の部屋にて



必要の部屋とは自分の目的に合致した道具や本などが満載の部屋であり、一般には知られていない。

「あったりなかったり部屋」とも言われている。

「目的」が変わるごとに、その内装や中にある道具も入れ替わるわけだ。

8階にあるが、普段入り口はただの石壁である。入るためには、壁の前を三回歩き回りながら、自分の目的を心に強く思い浮かべる事が必要だとか。





「さて、本題に入ろうか」



グリフィンドールカラーのネクタイを緩めながら、少年マクベスは言った。



円形のテーブルには菓子やらバタービールが置かれ、囲むように数人の生徒と教授見習いが座っている。


1991年6月

終業式前、最後の日

時刻は午後8時のことである。















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あきゅろす。
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