[携帯モード] [URL送信]

ミリバ 短編集
それは嵐の前触れか、晴れぬ心はどこ吹く風か





空は晴れ晴れと晴天なのに

私の心は

鉛雲のような空

轟々と嵐のような大粒の雨が窓ガラスを叩きつける



「…マスター」



小さな呟きは誰にも聞こえることなく


一人、物静かな建物の中に佇む



マスター、あなたは今どこにいるのか



寂しい寂しい寂しい…


ガラスに爪を立てども無音

結束の要を失った集団の最期は

バラバラになるのみ


自身はそれを幾度も見てきたことか



何日も戻ってこない身柄の居場所の主は

何を考えているのか

何を思っているのか


わからない…



ぐるぐると

考えは巡っては消え

巡っては消え…


仲間も消えてゆく…



私の居場所も消えてゆく…





イストニアの空は今日も晴れ晴れと

憎らしい程に





10.05.02.

[*前へ]

3/3ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!