ミリバ 短編集
それは嵐の前触れか、晴れぬ心はどこ吹く風か
空は晴れ晴れと晴天なのに
私の心は
鉛雲のような空
轟々と嵐のような大粒の雨が窓ガラスを叩きつける
「…マスター」
小さな呟きは誰にも聞こえることなく
一人、物静かな建物の中に佇む
マスター、あなたは今どこにいるのか
寂しい寂しい寂しい…
ガラスに爪を立てども無音
結束の要を失った集団の最期は
バラバラになるのみ
自身はそれを幾度も見てきたことか
何日も戻ってこない身柄の居場所の主は
何を考えているのか
何を思っているのか
わからない…
ぐるぐると
考えは巡っては消え
巡っては消え…
仲間も消えてゆく…
私の居場所も消えてゆく…
イストニアの空は今日も晴れ晴れと
憎らしい程に
10.05.02.
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