ミリバ 短編集
三
彼等について幾つか分かったことがある
任務について
一人で行うこともあれば、複数人でこなすモノもある
期間は短期、長期と幅広い
部隊に配属される隊員について
殆どが幼い頃から厳しい訓練を積んできた戦闘のエキスパート、という事
人並み外れた戦闘力と体力
人数は少数だが一人一人の実力は本物らしく、いつか手合わせしてみたいものだと、恐れ多くも思った
パタリと本を閉じ、マロンは軍の資料室から出た
「…(ヤバい、私には無理だ)」
歩きながら頭の中で呟く
自身は只の軍人。特別な訓練など受けているはずもない
部隊への配属を推薦した大将殿は一体何を考えているのだろうか
わからない…
しばらくの間の自問自答
当然、答えなど見つかるはずもなく
気づけば夕暮れで空はオレンジ色に染まっていた
殺しの集団
はたして私に何を与えてくれるのだろうか
無感情の下で
*****
夕食後
食堂から、また資料室へ行こうと軍本部の長い廊下を歩く
「ちょっと、そこの君!」
途中、誰かに呼び止められ後ろを振り返ると
スラリとした長身の男性が立っていた
「はい?」
七分袖のシャツにラフなジーンズ
金髪の、何処かで見たことあるような顔立ち
はて、何処だっけ…どっかで見たんだよ、うん
思考をフル回転していると、こちらへ近寄ってきた
「ちょっと付いて来て」
「は!?」
腕を捕まれ、何処かへ歩き出した金髪青年の表情は柔らかく
自身を混乱させるのには十分で
「あなた誰ですか?!」
「ASBのルシードよろしくな!」
「おぉ!こちらこそ宜しくって、ちげぇぇぇー!!」
まさしく爽快スマイル
白い歯がキラリと効果音が、つきそうなくらい彼はニコッと笑った
なんだこのキャラは…;
グイグイと腕を引っ張られたどり着いた先はS棟
トップクラスの部隊のみがS棟に基地を設けられることができる
「どさくさに紛れて手を恋人繋ぎにするのやめて下さい」
「照れるなよ」
「照れてません!」
誰か助けてー
冷酷だと勘違いしていたんだ
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!