ミリバ 短編集
二
―パタンッ
ずるずる…
部屋に戻ったのは夜中の一時を、とうに過ぎていた
扉に背を預け、ずるずると音無く床に座り込む自身
「はぁぁ…」
片手で前髪を掻き上げ、そのまま後ろへ流す。天井を仰げば小さな明かりが灯っているだけで
ふと、さっきの会話を思い出す
*****
一般的に公にされていないASB
その仕事は主に反乱軍、革命軍のせん滅
敵地に赴いてのスパイ活動、階級に問わず政府に反抗する者の殺害だ
唯一、味方殺しを許されるのがASB部隊
その事を聞いた自身は内心嘲笑った
「何故、わたくしなんでしょうか」
「君なら信頼がおける。考えてほしい、今の給与より高額だ。どうだ?」
(金で釣ろうとしてんのかよ…)
大将の提案に自身は眉を顰める
もし、部隊に入ってしまえば戦場には全くではないが出られない
ASBの人間である以上は陰密な行動しか許されないからだ…
大将の視線は以前、私に向けられたまま
ふせていた瞼を上げ顔をも上げる
「…少し、時間を頂けますか?」
「構わないが、…ジニオール」
途中で言葉を区切った大将は視線をマロンから黒スーツのリーダーらしき人物…ジニオールに視線を変えた
「大将殿と変わりません」
発した言葉はどこか冷たく
無表情のまま、冷たさを含んだ視線はマロンに投げられる
バチリと合った視線に
自身は身震いを感じた、それは
恐怖
これが真の彼らなのだと
暗殺をする者の顔だと
思い知ったのだ…
*****
「ぬうぅぅぅ!!!」
頭を抱え喘ぐ。
マジかよ!マジかよ!!マジかよ!!!
あんな冷血、冷酷な人たちと働かなならんのかと思うと…焦る
おちゃらけの自分には絶対に場違いだと思う!否定はしない!断じて!!
冷酷×7とバカ×1じゃ、浮くよ!自分、絶対に浮く!!
嗚呼、私の軍人人生終わった…オワタ
と、嘆くのであった…
誰にも聴こえない心の叫び
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