ミリバ 短編集
一
「なんでしょう大将殿」
何の前触れもなく軍本部に呼び出された私は今、大将と机を間において向かい合っている
「ノルマンディでの件、ご苦労であった。…マロン・ツキカゲ、大佐に昇格だ」
「はぁ、ありがとうございます」
フルネームで呼ばれるのは久しぶりだな…
さて置き、あの訓練?で多くの者が昇格しただろう。その内の一人である私もだ
だが、こうして呼び出されるのは何故だ。たかが昇格で、しかも大将直々に
全くもって意味不明だ
首を傾げ考えていると大将は部下を呼び茶の用意をさせた
誰か来たのかと思い、ドアの開く音の方へ視線を向ける
なんと、まぁ…黒スーツをビッチリに着こなした人達が入ってくるではないか
男性六人に、女性一人
彼らは一体何者なのだろう…
黒スーツのリーダーらしき人物が大将に頭を下げ敬意を示していた
恐らく大将より階級は下。まぁそうだろうね…大将より上なんて元帥や総帥、元老院のジジイ五人組しかいないのだから
…ジジイだなんて口に出した次の日には監獄行き確定だろう…笑えない
時計に目を向ければ、そろそろ(自分の)就寝の時間で
「大将殿、わたくしは失礼いたします」
「ああ、待てまて…まだ話はおわっていない」
「話、ですか」
ドアノブを握ろうとした手を引っ込め、大将へと向き直る。必然的に黒スーツの彼らと目が合うわけで
…なんだろう、此方を凄い凝視してくる;
大将は自分の椅子に座り直し部屋にいる者達を見、次いで私の方に視線を向けた
「時に、ツキカゲ君。キミはまだ無所属ではないか」
「はい」
「そろそろ身を固めてはどうかね?」
「…はぁ、考えているんですけど…」
大佐クラス以下の兵士は任意で部隊に配属され、准将以上はマスターとなり部隊長の権利を獲得できるのだ
自分は、いわゆる放浪人でなわけで…今まで部隊に入る気は起こらなかった
入ったところでなんになるのか、自由を制限されるのは嫌いだ
昔の苦い思い出が浮かび下唇をギリッと噛み締める
知ってか知らずか、大将は私の頭に金槌を落とすかのように言葉を投げた
「なら彼らと同じ、ASB部隊に所属してほしい」
聞き慣れないソレに首を傾げば、大将は続けて言った
「ASB…?」
「暗殺精鋭部隊、略してASB
モザーク政府直属の暗殺部隊だ」
ぐらりと目眩がしたのはいうまでもない
彼らと私の出会い
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