ミリバ 短編集
7
月明かりが照らす ビオフェ村
村人たちが寝静まった外でマロンは一人、見張り番も兼ねて夜空を眺めていた
キラキラと煌めく星々は零砂漠で見上げたものと変わらなく空に輝いていた
違うことは、この世界の月は白い
食べ物も、島にすむ人も、種族も
人間、巨人、人魚
ホノトたちから聞いた、この世界は驚きと新鮮に満ちていて好奇心をそそらせる。
毎日が楽しいとルチアは語った
でも、私は…
「この世界の人間じゃない、のよねぇ」
ポツリと呟いたソレは夜の空に消えて溶けた。
いつか消えてしまうのだろう…その時、は
此処で過ごしたことも忘れてしまうのだろうか
なかったことになってしまうのだろうか…
来たばかりなのに、なんてネガティブな思考を巡らすのだろうと自身は溜め息を吐いた。
今、自分に出来る事は、今を生きることだろう
戦争という闘いの枷が外れた今なら、自分が、どうしたいか考えられる余裕が生まれる。
「なんで私はトリップしてしまったのだ」
…いい加減、ネガティブループを脱しよう。うん。
キリがないからね…
*****
翌日
太陽が昇り始めた時刻
「うらぁッ!!」
「はぁッ!!」
現在、ホノトとルチアは鍛錬中である
その様子を寝ぼけ眼で見守るマロンは幾分か夢の中と現実を行ったり来たり…
慣れない夜更かしで、うつらうつらしていた。
昨日はどうやら何もなかったらしい。
「ふぅー…休憩にするか」
「はぁ…そうね…」
始めてから、まだ一時間しか経っていないのに二人の体は汗だくだ
それを毎日行っている
強くなるために。
*****
朝食を取り終わり、ホノトたちは村長の家に来ていた
「この村には若者が少ないですね…特に男性が」
マロンは1日、村の人達を見て自分たちと同じくらいの年齢層が少ないことを見て、気になっていたことを伝えた。
ソル村長は瞳を伏せて呟いた。
「若者は皆、海軍に入ってしまってのぅ…みての通りじゃ」
「村がこんな状況なのに誰も帰ってこないんですか?」
マロンが問えば村長は頷いた
「…ホノト」
「んあ?」
「見張り番宜しく」
「え?」
「仕事を早く片付ける」
刀を手にし、扉へ向かうマロンの表情が
恐ろしいほどに
黒く、染まっていたことに誰も気づかない
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