ミリバ 短編集
6
「ところで二人は戦えるのか?」
マロンは刀を鞘から抜きながらホノトとルチアに問いかける。
彼女の視線の先はライトウルフの群れ…
「アタシは投げナイフで闘えるわ」
「拳ならだが…殺るのか?」
ホノトはマロンに問い掛ければ彼女の表情は渋る。
「どうだろうね…」
ニヒルな笑みを浮かべながらマロンは狼の群に突っ込んでゆく。
彼女から聞いた、軍人だという話は紛れもなく本物だった。
無駄のない動き、しなやかさ
確実に急所だけを狙い倒してゆく…
俺が一匹倒す、その間にマロンは四匹も仕留めているのだから。
ものの数分もしない内に
村の方へ、帰ってきたマロンに村人たちは「どったまげたなァ…」と歓喜の声を洩らしていた。
*****
現在、マロンは村長と討伐について話し合っている。
俺らは後ろからただ聞いているだけで…
「ホノト…」
「なんだ」
「船長って誰だっけ」
「………俺」
「マロンって、確か22歳て言ってたね。なんだか、幼いイメージがあったけど、その割には性格が大人びてるし。ぶっちゃけホノトよりもマロンが船長に適任だと思うのはアタシだけかな?」
「………泣いていいですか!?」
逢って1日そこらの奴の方が適任だと!?
確かに俺は、まだガキだ!
だけど…
「俺の方が海に詳しい!!」
「…わかってるじゃない」
満足げに笑う隣の彼女に、ため息を洩らす
村長と話終わったマロンが二人の元へ戻ってきた。
「とりあえずね、狼たちのナワバリ付近を調べようと思う。何かあると思うんだよね
それから余談なんだけど、近頃
山に上ってゆく海賊たちを見たとの噂もあるんだ」
海賊
という言葉に反応したホノト
「…もしかしたら戦闘になる可能性もあるってことか……」
そう呟くホノトの表情が歪んでゆくのをルチアは悲しそうな瞳で見つめる。
マロンは、そんな二人の心情を察してか知らずか。
「覚悟はしとけって事」
相手は海賊、鉢合わせない可能性は低い
海に出る前は村の師匠から技を受け磨いていた…あくまで実戦経験は、ほぼ0に近い。
人対獣なら抵抗は感じないが、
人対人は…
「人を殺すのは嫌か?」
投げかけられた言葉に俯いていた顔を上げれば、冷たい瞳のマロンが此方を見据えていた。
「人を殺すのは抵抗を感じるか?」
言葉が出ない…喉に詰まるナニか
ギリッと下唇を噛みしめては
呼吸を整える。
「……ッ…躊躇、しない
するものか!
生半可な気持ちで海に出たんじゃないんだ俺は!俺は…やらなきゃいけないんだ!!
海賊に復讐をするために!!!」
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