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ミリバ 短編集
1 ビオフェ編





義賊というものに憧れたガキの頃…



村が海賊に襲われ家族が殺された

次は俺の番だと目を瞑り諦めた

けど衝撃は来なくって


恐る恐る目を開けたんだ

目の前には、今さっき俺を殺そうとした奴の死体があった。



「ヒィッ!」



上を見上げれば、黒いマントをはためかせ

真っ白い歯を、これでもかってくらいニカッと笑うオッサンの姿があった。



「小僧、もう大丈夫だ」



その言葉が救いになった

オッサンと、その仲間が村にいる海賊を全滅した。
















あれから10年後の今日、俺は義賊として広大な海への第一歩を踏み出した

二人の仲間と共に…


一人は隣町の幼なじみであるルチア

家を無くした俺を、引き取ってくれた民宿屋のおじさんの娘が彼女

6人姉妹の5番目で、俺と同じ20歳だ



そして、もう一人は

ほんの1時間前に空から降ってきた謎の女だ

珍しい服装に幼さが残る顔立ち…年齢は恐らく俺より下だと推測

腰にあった2本の刀が気にかかるが…今はルチアのベッドの上で寝ている

幸い、俺たちは義賊

海賊、賞金首や人攫いしか相手にしない

起きたら問うてみることにしよう



―カチャッ



「ホノト」

「あぁ、ルチアか」



ドアには海図と双眼鏡を持ったルチアが立っていた



「今日は近くの島に停泊しようと思うんだが」



海図を机の上に広げ、一つの島を指差す



「アヴァンダム島か…」

「海軍もいるし、治安がいい島みたいよ」

「解った、そこで停泊しよう」

「アイサー」



ルチアは海図を巻き、俺達は甲板へと出る


船はさほど大きくはない

例えて言うのなら普通の海軍の船の二分の1程度

港町の漁師の、おじいさんが引退を期に譲り受けたライウン号を、旅船に改造したのだから外見はピカピカだ。


波は穏やかで空は夕焼けがかっていた。





港に入港し、一般船の停泊場に止める

我ながらに良い腕をしているルチアは

港の管理の人に停泊料を数日分支払い、情報が集まるのが多いだろう酒場へ向かう。

さっきルチアが言った通り割と平和な町だと感じる

彼女、曰わく治安がいいから情報は少ないのではないかと言うが、一応は聞きに行く。










―カランカランッ



酒場に入りカウンターの席につき、ビールとツマミを頼む

店内は、まだ夕方とあって人は疎らだ



「マスター、俺たち今この町に着いたんだが何か情報を知りたいんだ」

「ふうむ…ならギルドに行くと良いかもしれんな」

「ギルド?」



首を傾げるルチア。



「あぁ、依頼仲介所と一方がいいかな。そこに依頼が集まるんだ。

請け負って依頼をこなせば、報酬が貰えるシステムだ。」

「依頼には何があるんですか?」



ホノトは訪ねた



「様々だが、店での販売や農業の害虫駆除、害獣退治があるな」

「海賊や人攫いなどの被害は?」

「最近はないなぁ」



マスターは渋い顔をしながら言った

最近、海軍が港の方に頓地を構えたので激減したという。同時に仕入れが厳しくなったと、マスターは苦笑を洩らしていた。


ツマミを食べながら、二人は明日の事について話し合う



「とりあえず買い出しは足りてるからいいとして、問題は…」

「あの謎の少女?」



どうやらルチアの中でも、あの謎の女は15歳くらいだと確定しているようだ。



「起きる待ち、だな」

「ふぅん…」



頬杖を付き、何やら企んでいるルチアの横顔をチラリと見る…こういう場合は嫌な予感がするもので…長年の感が脳を刺激する。

因みにルチアの趣味は…………



「………………」



いや考えない方がいい、絶対に。





次第に店内も、人が賑わいを見せ始める

勘定し店を出た



船に戻っても、まだ謎の女は眠ったままだった。

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あきゅろす。
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