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ミリバ 短編集
反乱軍総統





5年後―




ミラエ渓谷とイラエ渓谷の間にある中央零砂漠の南にある、こるぽ五湖…


その丁度中間地点に一台の重戦車と、それに乗っかり周りを見渡す一人の女兵士。




「…今日も異常なし、と」




工兵帽を深く被り直し、足下にある入口の看板を思いっきり叩く。


ガンガンガン!!




「タイガーさん、朝ですよ。いい加減起きてください」




キィー…


暫くして看板の蓋が開くと、耳元を手で押さえ眉間に皺を作り無精髭が目立つ中年の男が現れた。




「なんやぁ…朝っぱらからうっとおしいわい…」


「貴方は軍のリーダーでしょう、もっと自覚を持って下さい」


「へいへーい…ブツブツ(全くおつぼねさんじゃああるまいし)」


………何か言いました…?(にっこり)


「な、なんでもないデスはい!」




おでこに青筋を浮かべて身を強ばらせた、反乱軍総統タイガー…


部下に怒られているその姿はとても軍を率いる者ではない、と女は苦笑いを含みながら思った。




(でも、この人は私の使えるべき人なのだ…命の恩人であるこの人に……)




「小隊に集令かけますか?」


「ああ、頼む」




無線機を取り出し五湖に散らばる小隊へと掛けてゆく。




「ジュラ…」




呼びかけられ口元から無線機を離す。




「なんでしょう」


「近いうちにイストニアとモザークが動き出すらしい…ここも彼等の通過地点になる…」




五つあるうちの一つの小隊に情報屋がいる。

それは彼から得たものだ…




「…その時は…気ぃ引き締めとけよ…五湖荒らしの奴らとは数が違うのだからな」


「はい…」




ジュラはゆっくりと頷いた。


かつての戦友たちが、ここを通るかもしれないと…

だが、もう自分は…



反逆者でしかないのだから…







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あきゅろす。
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