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ミリバ 短編集
図書館で
新学期が始まる1日前には殆どの生徒が帰ってきた。マロンは帳簿を見ながら生徒たちが城に入って行くのを確認していた。

生徒たちの話題はもっぱら休暇中の話題で盛り上がった。ハーマイオニーはホグワーツに入るなりハリーとロンが迎えいてた。彼らも休暇中の出来事を話した。



「どうせならニコラス・フラメルについて見つけられれば良かったのに……」



そう言って悔しがるハーマイオニーにマロンは苦笑した。

図書館ではフラメルは見つからないと殆ど諦めかけていたが、ハリーだけは食い下がっていた。

新学期が始まると彼は再び本を漁るようになる。クィディッチの練習もあるのにとマロン含め感心していた。




ある日、マロンは調べ物をするため図書館を訪れた。

目当てのものが載っていそうな本の棚の周りを歩いていると



「トゥリエル先生」



声がした方へ顔を向ければ、ハリー達三人が相変わらずニコラス・フラメルについて調べていた。



「こんにちは、勉強熱心ね」



そう言えば三人は、ぎこちなく笑った。



突然、棚の奥から誰かの悲鳴が聞こえた。何事かと慌てて棚を廻れば、



「ネビル君!?」



そこには両足がピッタリくっついたままのネビルが倒れていた。彼の正面では杖を持ったドラコとお付きの2人が高笑いをしいたが、私を見た途端その顔はみるみるうちに青ざめてゆく。



「Mr.マルフォイこれはなんですか?」



すぐに足縛りの呪いだとわかったがマロンは敢えて問う。
教師の登場に少しだけ慌てたドラコが口をモゴモゴさせただけで言い出す気配はない。



「…スリザリン3点減点」



マロンは表情は出さぬがカンカンだった。ドラコの行いは自己を中心に考えすぎている。杖を取り出し呪いを解く呪文を唱え、ネビルを自由にしてから彼らと向き合った。



「どんな理由があるにせよ一方的にけしかけるのは感心しませんね、Mr.マルフォイ」

「…」



彼は私から目をそらすと、何も言わずにその場から立ち去った。追いかけるように後の二人も図書館から出て行った。



「(ふぅ……)」



「大丈夫?ネビル」



ハーマイオニーがネビルをロンの横に座らせた。



「マルフォイ…誰かに試してみたかったって…」

「マクゴナガル先生に報告しましょうよ!悪質すぎるわ!」

「これ以上面倒になるのは嫌だ」



憤るハーマイオニーに、ネビルが弱々しく呟いた。



「ネビル、あいつをのさばらせておくのか?立ち向かわなきゃ」

「僕がグリフィンドールに相応しくないなんて、僕が一番感じてる」



ロンの言葉にネビルは傷ついたように答えた。もう荒みきっていて、見ていると気の毒だ。どう声をかけていいか迷って顔を見合わせていると、ハリーが自分のポケットに入っていた蛙チョコを差し出して慰めるように言う。


「きみは帽子に選ばれてグリフィンドールに来たんだ。マルフォイはどうだ?腐れスリザリンじゃないか」



ネビルは蛙チョコを開けながら弱々しく微笑んで立ち上がった。中に入っていたカードをハリーに渡した。



「ハリー、ありがとう。僕はもう寝るよ。カードはあげる。集めてたよね」



ふらふらと男子寮に向かうネビルをマロンは心配しながら見送った。ハリーたちがニコラス・フラメルを見つけたと騒ぐのを聞きながら。



*****
(side ハリー)


「フラメルを見つけた!どっかで名前を見たことがあるって言ったよね。ホグワーツに来る汽車の中で見たんだ…聞いて…『ダンブルドア教授は特に、1945年、闇の魔法使い、グリンデルバルドを破ったこと、ドラゴンの血液の12の利用法の発見、パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名』」

「あっ!」



ハーマイオニーは思わず声を上げ、飛び上がった。ちょっと待ってて、と彼女は脱兎のごとく女子寮への階段を駆け上がっていった。ロンとハリーが見交わす間もないうちに、巨大な古い本を抱えて矢のように戻ってきた。



「この本で探してみようなんて思いもしなかったわ。」



興奮しながら囁くハーマイオニー。



「ちょっと軽い読書をしようと思って、随分前に図書館から借り出していたの。」



軽い?と口走るロンに黙ってて、と言うなり、ハーマイオニーはものすごい勢いでページを捲り始めた。



「確か6章の最後のほうだったわ。」



記憶を頼りに、やっと探していたものを見つけた。
ハーマイオニーは小さな声で本を読み上げた。



「ニコラス・フラメルは、我々の知る限り、賢者の石の創造に成功した唯一の者!賢者の石。それはあらゆる金属をも黄金に変えて、飲めば不老不死になる『命の水』の源だ。」



しかし、ハリーとロンからはハーマイオニーが期待したような反応がなかった。



「何、それ?」

「まったく、もう。2人とも本を読まないの?ほら、ここ…読んでみて。」



ハーマイオニーは2人に本を押し付けた。そして2人が読み終わると口を開いた。



「ねっ?あの犬はフラメルの『賢者の石』を守ってるに違いないわ!フラメルがダンブルドアに保管してくれって頼んだのよ。だって、2人は友達だし、フラメルは誰かが狙っているのを知ってたのね。だからグリンゴッツから石を移して欲しかったんだわ!」

「金を作る石、決して死なないようにする石!スネイプが狙うのも無理ないよ。誰だって欲しいもの。」



*****


「僕、試合に出るよ。」



翌朝、ハリーは2人にそう伝えた。



「出なかったらスリザリンの連中はスネイプが怖くて僕が試合に出なかったと思うだろう。目にものを見せてやる…僕たちが勝って、連中の顔から笑いを拭い去ってやる。」

「グラウンドに落ちた貴方を、私たちが拭い去るようなハメにならなければね。」



ハーマイオニーが言った。

しかしハリーの言葉はやはり強がりだったらしく、試合が近づくにつれて不安は募っていった。



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