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ミリバ 短編集
理不尽
アルバスと別れ、校庭に向かう途中、マロンは中庭から戻ってくるセブルスと出会った。

手には「クィディッチ今昔」の本があった。大方ハリーから取り上げたのだろう。大人気ないというか何というか。



「セブ、」



ハロウィーンの日、彼は私に対して警戒を持つようになってしまった。わざとそうしたのは失敗だったのだろうか。

暫く二人きりで会話する機会もなく、こうして面と向かうのは久しぶりな気がする。足を、引きずっているようなのは気のせいではないはず。



「薬、塗ってないでしよう」

「……君には関係のないことだ」

「そんな、言い方!自分を蔑ろにしないで!!」



強引にセブルスの手をとり、近くの空き教室へ入る。

ハリーは本を返してもらおうと職員室へ向かうはず。ここで留めておけば、セブルスは要らぬ疑いを掛けられずに済む。

迷惑そうな、でも嫌な顔をしないセブルスを強引に座らせ足を出させる。

包帯はされているが、治療が甘いのか血が滲んでいる。

滲んだ包帯を外し、拡張鞄から消毒液を取り出しコットンに浸みこませ治療を施す。

仕上げに包帯を巻き付け、患部を軽く叩く。わざと。



「ぐっ…」





趣旨返しだ、バカ。



マロンは視線を本へと向け、それを手に持つ。



「これ借りていい?」

「………好きにしろ」



素っ気なく視線を合わせようとしないセブルスに軽く溜息を吐いた。





***



そのころ、グリフィンドールの談話室では戻ってきたハリーにロンが声をかけていた。表情は暗い。



「早かったね?本は返してもらえた?」

「いや、職員室に行ったけどいなかった」



それから三人は誰が狙っているのかと結局、答えがでないままになってしまった。

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あきゅろす。
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