ミリバ 短編集
密かな策略
(マロン Side)
大広間を出てゆくハリーとロン、二人の背中を見つめる。
ああ今夜か…“真夜中の決闘”は。
一年目は、なるべく傍観するようにと皆には言ってあるし、ネビル君の不運を回避することは許可してあるけど、原作を捩曲げるような余計なことには突っ込まないと思うけど…
「あ、クィリナス!」
「な、なんでしょう?」
大広間から出ていこうとする彼を引き止め、駆け寄る。
助手時代から彼とは飲み仲間の一人だ。実は。
「今夜、久々に飲まないか?いいワインとチーズが手に入ったんだ。どうせ予定ないんでしょ?」
「え、ええ…」
「じゃあ、10時に私の研究室で」
「わかりました」
嫌な顔せずに承諾した彼。しかし久しぶりに微笑んだ彼を見送り、内心ほくそ笑む。
取り次ぎ成功。あとは彼に例の薬を混ぜた…おっと、これは後のお楽しみだ。
「…何をニヤついている」
「ぎゃあ!?」
背後に佇むセブルスに、肩が跳ねた。ついでに間抜けな声まで出してしまう始末。いつの間にいたんだ、この人…。
「びっくりしたー…;脅かさないでよーもぉー……」
がっくりとうなだれば、セブルスの眉間のシワが三割増。なにが不服なんだ、なにが。
「…奴と何を話していた?」
「…、」
お酒に誘っていました、テヘッ☆
なんて言えるわけねぇ…!!
「なに?心配してくれるの?」
ニコニコと問い掛ければ、彼は大広間から出て行ってしまった。
「……照れ隠し?」
…なんてアホな事を呟く。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!