ミリバ 短編集
一年生の事情
(マリリ Side)
談話室に「お知らせ」が張り出された。おそらく他の寮でも同じものが張られているだろう。それを見た一年生は、きっとワクワクドキドキしていると思う。
私だってそうだったから。
『飛行訓練は木曜日に始まります。グリフィンドールとスリザリンとの合同授業です』
飛行訓練。
魔法使いである身としては無くてはならない授業の一つで、マグルが車や自転車を使って移動すると同じように、魔法使いも箒で移動した方が徒歩の何倍も便利で速い。それは昔から変わらず今も続いている真実。
飛行訓練の話題が出ると魔法使いの家の子は箒に、まつわる思い出やクィディッチの話をしたりと授業までの間、話題に尽きることを知らない。
彼女も、こればかりは本を読むだけでは、できっこないので最近は特にピリピリしている。
真面目なのは良し悪しなのだと思うのだが。
木曜日の朝食の時、彼女…ハーマイオニー・グレンジャーは図書館で借りた『クィディッチ今昔』で仕入れた飛行のコツを、ウンザリするほど話しているのを、よく耳にする。
「だから、コツは…」
ハーマイオニーの言葉を聞くネビル・ロングボトムは必死で聞き漏らすまいとしているから、なかなか見ていて面白い。
梟便が来て彼女の講義が中断すると、皆ホッとした表情をした。
GJ梟便。
メンフクロウがネビルに、お婆さんからの小さな包みを持ってきたようで、ネビルは嬉しそうに包みを開けた。
白い煙が詰まっているように見える大きなビー玉ぐらいのガラス玉を皆に見せた。
「『思い出し玉』だ!ばあちゃんは僕が忘れっぽいことを知っているから――何か忘れてると、この玉が教えてくれるんだ」
見てて、と言ったネビルは玉をギュッと握った。
すると思い出し玉が突然真っ赤に光り出し、彼は愕然とした。
「……何かを忘れてるってことなんだけど……」
何を忘れていると表示されたところで、その“何”が解らなければ意味ないのでは…
ああ、そういえばと
飛行訓練ではネビル君が落っこちゃうんだっけ。どうにかしてあげたいが、どうしようかと
まぁ君に目配せしたら大丈夫だと言われた。
ネビルが必死にその“何か”を思い出そうとしている時、ちょうどソレを狙ったかのようにクラッブとゴイルを引き連れたマルフォイがネビルの後ろを通り掛かり、ネビルの手から思いだし玉を引ったくった。
「(うぁー、子供だなぁ;)」
「…」
様子を見ていら次の瞬間、ハリーとロンが条件反射の如く立ち上がった。
しかし、
「どうしたのですか?」
不意に背後からミネルバが姿を現した。
現れたミネルバの姿に、マルフォイは苦々しくも「見てただけですよ…」と返すと踵を返して大広間を後にしていった。
魔法史の授業中、まぁ君に先程の「大丈夫」の意味を聞く。日本語で。
「さっきの『大丈夫』ってどういうこと?」
「そのうち分かる」
よくわからないけど。まぁ、いいか。
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