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FF7short
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『いやいやいや!ムリムリ!やっぱりさっきのままでいいよ!』

「大丈夫!似合ってるよ。」

『とにかく無理!うわー、足スースーする…』



店に着いた瞬時に私とクラウドは離されてわけの分からん服を着させられてただいま混乱中の名無子。

どうもできずに階段から(もちろん下の方から)マリン達に突き飛ばされ、カウンターの方まで出てしまった。


とりあえずスースーする足を隠したくてスカートの裾を引っ張って伸ばそうとしているとクラウドと目がバッチリ合ってしまい、急いで近くの柱に逃げ込んだ。




ていうか、ていうか、




なな、なんというイケメンサンタ!!?




サンタあんなかっこよくていいの!?
もっとポッチャリしてて、ヒゲ生えてて、オッサンで…。




「名無子…」

『クラウド!!!』

「…なんだ」

『太れ!!!』



「………は?」



『あとヒゲも生やして帽子もちゃんと被りなさい!』


「帽子は…被れない」

『んなツンツンした頭してるからだよ!
サンタがそんなにかっこよくてイイと思ってんの!?』



「…名無子も似合ってるぞ」


『…ぇ………!?』

「…………!」


「ちょっと、二人とも!?」


二人して自分の言った言葉がいかにハズイことかを思い知り、その場で赤面してうずくまってしまった。




あたりまえだ!カ、カッコイイとか、あんな、ナチュラルに…!しかもなんか褒められた!?

どうしたらいいんだ、地味にうれしいぞ!?
似合うって…そんな…!








「あー、もう!ラブラブしてないでさっさと仕事に行きなさい!
今日は忙しいわよ!!」



「ラ、ラブラブなんかっ…!」
『ラ、ラブラブ…!?』


「いいから!早く行く!!」





配達する荷物と共に店から締め出されてしまった名無子とクラウド。
仕方なくフェンリルに跨がり、配達へと向かった。












‐‐‐‐‐‐








「次で最後だな」


『や、やっとか…。あ゛ー、寒いよー!』


「……ほら、着いたぞ」



着々と荷物の量を減らしていき、とうとう最後の配達先へとたどり着いた二人。

名無子は最後の荷物をもって家を訪ねると、大体5、6歳くらいの男の子がドアを開けてくれた。


『ストライフデリバリーサービスでーす。
荷物をお届けに参りました。お父さんかお母さんは今いますかー?』


かわいいなーとか思いながら笑顔で対応………をしたら、










「ママー!!夫婦のサンタさんだよっ!!
夫婦で来てくれたよっ!!」


『…え゛っ!』

「………!?』









家の中へと引っ込んでしまったかと思うと今度は母親を連れて再び姿を現した男の子。

瞳は恐ろしくキラキラしており、どうやら本気で私達が夫婦のサンタだと信じているようだが……。

サンタこんなんでええの!?
太ってないし、帽子も被ってなければヒゲも生えてない。
金髪だし、移動手段はソリとトナカイじゃなくてメルヘンのかけらもないフェンリル。



夢をぶち壊してやいないかい?



「僕いい子にしてたんだ!だから二人で来てくれたの?」

『う゛…』


ああ……、すごい笑顔で…。
お母さんもちょっと困っちゃってる顔してるしさ…。


うー〜…。


『う、うん!ちゃーんといい子してた子にはね、あそこのおじちゃんと一緒に来てるんだよー!』

「(おじ…!?)」

クラウドを指指しながら変わらぬ笑顔で対応。
一瞬クラウドの顔が引き攣った気がするがもちろん無視。

『あ、はいお母さん。これ荷物です』


なんとなく子供を騙していることに気が引けて早めに立ち去ろうとするが…。



『あのー…?』


お母さんは頬を軽く染めてうっとりした表情である一点を眺めていた。


その視線を辿っていくと…誰もが気付いたであろう、クラウドである。




いや、いやいやいやいや!


『お、お母さんっ!荷物をどうぞ!』


「あ、あらあら、すみません!
私ったらぼーっとしてて…寒い中ご苦労様」



「ねー、サンタさん!」



やっと帰れるかとホッとしたが、またも男の子が興味津々な表情で話しかけてきた。

ああ、また私は無垢な子供を騙さなければ…










「サンタさん達ってちゅーしたことある!?」








『へっ!?な、ちゅー!!?』



「これ!何言い出すの!」

「だって隣の子がね、仲良しな夫婦はいつもちゅーをするって言ってたよ。ね、ちゅーする?」




前言撤回!全然無垢じゃない!
そ、そりゃたまにはする…けど、いつもとかなんて…。



『ええとね、いくら仲良しでも…』




そこまで言いかけると私の視界には見覚えのある整った顔とチラチラ見える金色の糸。
その瞬間の唇に感じたフワッとした感触。

「まあ!」というお母さんの声と「わあ!」という男の子の声も聞こえる。



自分の身に何が起きたのか時間をかけてやっと理解したころにはすでに視界は元の風景に戻っていた。








「…………サンタは仲がいいからな」


『ば、………』


ばっっっっっっかじゃないの!



って言いたかったけど、その前にフェンリルへと引っ張られてそのまま出発してしまった。






‐‐‐‐‐‐





『馬鹿チョコボ!人前であんなっ!』


「…………」


『ちょっと!聞いてる!?』


「……雪」







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あきゅろす。
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