FF7short
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今日の名無子は浮かない顔をして空を見ていた。
遠い目で雲のもっと奥を覗こうとするように、空を見ていた。
普段煩いだけに、今のように大人しい彼女を前にして、とてつもなく違和感を感じてしまう。
本人に言ったら怒るだろうが。
とにかく、こんなにも静かなのは珍しい。
「何してるんだ?」
『あ、クラウド。人ってね、死んだらライフストリームつって星に帰るんだって』
「…………知ってる」
『クラウド、私が死んだら泣く?』
急に何を言い出すのかと思えば…
名無子が死んだらなんて考えた事なかった。
ずっと一緒にいるものだと思っていた。
けど、名無子がいなくなれば…
いつもみたく悪態を付き合う日々はまずこないだろう。
静かで平穏な日常になるだろうな。
でも、………
「泣く…かもな」
『ええー、意外』
「なんだよ」
人が柄にもなく真面目に考えて出した結果 意外 ってなんだ。
『私は…そうだなー、怒るよ!』
「…なんでだ」
『先に逝かれるのやだからね』
「…俺だって嫌だ」
『……クラウド?』
後ろから覆いかぶさるように抱き着いてきたクラウド。
普段なら絶対にない彼の行動に内心焦る名無子。
『や、やだなー。もしもの話だよ!
本当に死ぬ訳じゃないんだからさ!』
「いきなりこんな話するな」
『…悪かったよ』
私の腰に巻き付く、がっしりとした腕に手を添える。
クラウドって細く見えるけど、意外と体格よくて…こうしてると居心地いいし、安心する。
私だってもしクラウドが本当に死んじゃったら泣くよ。きっと。
大号泣して、もしかしたら後を追おうとするかもしれない。
それくらい、大好き。
本人には恥ずかしくて言えないけどね。
「できるなら一緒がいいな」
『できるなら一緒がいいね』
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