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ヒメゴコロ
3

たくさん泣いた司は目を真っ赤に腫らしてしまい、困ったようにはにかんだ。


それから集まった支援物資を生徒会室まで持って行った。泣き腫らした司をすぐには教室へ連れていかれず、そこで朝の学活をサボった。



******


次の日。今日は委員会。
私は悠希ちゃんと図書館に向かっていた。


「そういえばさ、蘭ちゃん。最近由香里来ないじゃん?どうしたの?」

「え?あ、えっと私もよくわかんなくて…。」


「三組の女子が…」とは言えず言葉を濁す。


「だよねぇ。この前あたし電話してみたんだけど、委員会がヤダ、みたいなこと言ってたからさ。」

「は、あ?何それ!?」

「さぁ、わかんない。」


どうしたんだろうねぇ、と言う悠希ちゃん。


頭がグルグルする。

嫌だって言ったのは三組の女子じゃないの?

嫌なのは委員会?
自分でやりたいって言った図書委員会なのに!?
私と悠希ちゃんや口は悪いけれど仲のいい委員長だっているのに委員会が嫌!?


何それ、私に言った事と全然違う…。


何が嘘?


本当はどれ?





混乱する頭に浮かんだのは由香里への"心配"ではなく"怒り"だった。









直接話さなきゃ。















そう思った私は週末、由香里の家を訪れた。


チャイムを鳴らす。
なんの予告もなしに家に来てしまった。いなかったらどうしよう、なんて今更な事を考えていると家の中でバタバタと音がし、玄関が開いた。


そこにはTシャツに短パンというラフな格好の眠そうな表情をした由香里が立っていた。


「え、蘭!?」

「…や、久しぶり。」





由香里の長かった髪は肩ほどの長さになっていた。
毛先が整っていない所からして、美容院などで切ったのではないとわかる。


――「お父さんに切られちゃったって…。」


司の言葉が脳裏に過ぎり、チクリと胸に痛みが走る。





「由香里、今日は話しがあるんだ。入っていい?」


重たい印象を持たせたら家に入れてくれないかもしれない。そう思った私はニコリと笑う。


「あぁ、うん、どうぞ。私も話さなきゃって思ってたから。」


そう言って由香里は私を家にあげてくれた。





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