ヒメゴコロ
理由
その日、家に帰った私は早々に電話をかけようと受話器をとった。
プルルル、プルルル、というコール音に何故か緊張している自分がいた。
親友の由香里に電話をかけるだけなのに。
ゴクリと唾を飲んだその時だった。
《ガチャ》
「はいもしもし、土屋ですけど。」
聞き慣れたアルトボイス。由香里だ!
「もしもし、蘭だけど、由香里?」
「え、蘭?蘭から電話なんて珍しいね。」
悪までも明るく振る舞う由香里に胸が痛む。
「うん、由香里と話したいなーって思って。最近学校来てないみたいだから。…ねぇ、由香里どうしたの?司だって心配してるんだよ?昨日だって司、由香里の家に行ったのに入れてもらえなかったって…。」
「……ごめん。」
「いや、ごめんって…。」
「ごめん、蘭にはちゃんと話すから。司には言わないで、心配かけたくないの。」
そう言って由香里は話してくれた。
何故学校に来なくなったのかを。
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