ヒメゴコロ
2
信じたくなかった。
でも、察しはついていた。
前に電話でわざと学校の話をした時、嫌そうな反応をしてたから。
来たくないんだって感じ取ってはいた。
けど、それでも信じていたんだ。
「学校にくる」
という言葉を。
その言葉だけを信じていたのに…。
もう、由香里は
学校に来ない。
「……そっか。」
他に言葉が出てこなかった。
「蘭、本当にゴメン。」
そう謝る由香里の声すら聞きたくなくて
謝るくらいならあんな"嘘"つかなきゃよかったのに。
期待なんか持たせてほしくなかったのに。
ほら、由香里だって、悲しそうな顔、してるじゃん。
そんな言葉が口から溢れ出さないよう、私は奥歯をきつく噛み締めた。
「…由香里、私帰るね。」
「玄関まで送る。」
「…うん。」
私は由香里と部屋を出た。
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