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通信スフィア1



「ほんとうによかった。いち時はどうなることかと・・・ほんとうによかった」
・・
ユウナの姿を見たアニキは、よよと崩れ落ちる。
ダチは、やれやれとアニキからユウナに視軸を移す。

「ユウナにもしもの事があったら、責任とるだの生きていけないだの大騒ぎでな」

「な〜んにも情報がなかったからね。通信スフィア、穴に落としたんだけど、役に立たなかったし」

「あれはまだ、テスト中だし」

若干、責めるようなリュックの眼差しに、シンラは言い訳した。
地下では遮蔽物が大き過ぎたのだろう。今後の課題だなと、シンラは頭の中で改善策を模索し始める。

「アヤはどうしたんだ?」

「アヤさん、疲れたから先に休ませてくれって」

「そうかーー」

リュックはユウナに向き直り

「ユウナん、アヤ、すごかったんだよ。ユウナんが落ちた時、すぐに穴に飛び込んだんだよ」

「うん、少しの躊躇いもなくね」

「アヤは今でも、ユウナんのガードなのかもね」

「そうだったんだ・・」

アヤが、あの旅から2年経った今でも、そんなにも私のことを想ってくれているーー
ユウナの胸は熱くなった。

「で、穴の中で何が?」




「レンーーーねぇ」

「あのドレス着てた人、千年前にね」

話を聞いていたシンラが、首を捻って顔を向ける。

「そうなの!?」

「なんで黙ってたのさ〜」

「聞かれてないし。それに、わかったのは名前だけ、話す意味ないし」



驚いたけど、意外じゃない。やっぱり・・繋がっていた。



「じゃあさ、シューインってヤツがユウナんのことを『レン』って呼んだのは、ドレスのせい?」

「確かなことは言えないし」

「そんなことより、シューイン!スピラを滅ぼすなんて、許せん!」

「だからって、俺たちに何ができる?ヌージとギップルがどうにかする気だろ。とりあえず、あいつらに任せておこう」

アニキの怒りを受け流し、ダチは操縦席に戻る。
シューインの目的はわかった。しかし、どうしたらいいんだろう。
怒りの矛先を失ったアニキは、暫く行ったり来たりしていたが、腹がへったと言いブリッジを出て行った。
アニキの背中を横目で見送ったリュックは、ユウナにすり寄る。

「ユウナんユウナん」

「何?」

「あのさ、シューインってヤツ、会ってみてどうだった?」

「どう」に含まれた複数の意味を察して、ユウナは首を振る。

「似ているのは顔だけね。あ、パイン、ちょっといいかな」



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