ショータイム4 「そういえば、ユウナ。あのあと、何してたの?」 アヤ がコーヒーカップを口に運びながら訊ねる。 ーーー事件のキッカケは、リザルトプレート。飛空挺に侵入してリザルトプレートを盗んだ泥棒が残した、一通の招待状。 スフィアとリザルトプレートの保管室で、盗まれたプレートの場所に置かれた封筒。 「何それ?」 「 アヤ 宛だし」 シンラは アヤ に差し出す。受け取った アヤ は、裏返して差出人を確認するが、名はない。 しかし、封筒裏に封蝋代わりのピンクのハートが印してある。それを暫く見つめた後、徐に封を切った。 入っていたのは、手紙ではなくチケットだ。 「コンサートの招待状・・・?って、ユウナの!?」 「えっ!?」 「ユウナん、コンサートやるの?」 「し、知らないよ!」 ユウナは両手を振って否定するが、チケットには、はっきりとユウナの名が書かれている。 「 アヤ 、いつ?」 「明日。ルカスタジアムよ」 「ユウナ様のコンサートだってよ!チケット、まだ残ってるかな!?」 「早く行こうぜー!」 広場を走っていく若者を見送りながら、リュックは嬉しそうに頷く。 「ユウナんのニセモノ、大人気だねえ」 「こっちが本物って言っても、誰も信じないだろうな」 「あの格好じゃあね」 3人が振り返ると、ポテポテとモーグリの着ぐるみが歩いて来る。やっと3人に追い付くと、大きな頭が項垂れた。 「好きで着てないって・・・暑い・・・」 くぐもったユウナ声が返ってくる。着ぐるみの蒸し暑さでよろけて、頭が取れそうになるのを慌てて支えた。 「ユウナがへばる前に、終わらせるか」 「チョイチョイって片付けるから、そこら辺で遊んでてよ」 ユウナを残して、3人はスタジアムに向かう。 ーーー私のニセモノが開いたコンサートに潜入して、リザルトプレートを取り返すって作戦。私が行ったらすぐにバレるから、潜入するのは、リュックとパインだけ。その間、私は正体を隠して待機ってことになったんだ。で、渡されたのがこれ・・・ モーグリは、ため息をついた。 ーーー文句は言ったんだけど、アニキさんのリーダー命令なんだよね スタジアムのエントランスにつくと、関係者用の入り口に近付く。 「うわっ、警備が厳しいね」 「人も多いし、これじゃあ忍び込めないな」 「リュック、パイン、まかせて」 招待状を取り出すと、唇に当てる。 「せっかくの招待だしーーね」 軽くウインクをして、人混みの中に入っていく。すると、すぐにざわめきが起こる。伝説のガードの名は、2年経っても健在だ。 アヤ は警備員に近づくと、にっこり笑った。 「ねえ、案内してくださらない?」 招待状を差し出すと、警備員は直立不動する。 「は、はい!!こちらへどうぞ!!」 人々の視線が アヤ を追う。 「さっすが、 アヤ 」 「ナギ節をもたらした召喚士を2度もガードした、伝説のガードだからな。行こう、リュックーー」 人々の間をすり抜け、スタジアムに浸入した。 [*前へ][次へ#] |